映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

2011-01-01から1年間の記事一覧

2011年のベスト映画10本

私が今年1年間で観た映画は122本。 うち映画館で43本。 BS・CS放送、DVDで79本。映画館では、洋画に観るべきものが多く、洋高邦低の一年。WOWOWで、日本映画屈指の大ヒットシリーズである「男はつらいよ」および「座頭市物語」の各第1作目と…

「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」

風邪がやっと直ったので、久しぶりに映画館へ。 こんなときは楽しめる映画を選んだが、期待どおり面白かった。映画が始まると、IMFのメンバーが女殺し屋に殺害されプロファイルが奪われ、イーサンの刑務所脱獄と、いったいどういう展開なの? と思わせる…

歌舞伎「元禄忠臣蔵」

「仮名手本忠臣蔵」は、”お軽と勘平”という史実にない人物を登場させることに劇作者の心と手腕があり、ゆえに庶民に最も愛される名舞台となった。 一方、史実に近いといわれる真山青果作の「元禄忠臣蔵」にはお軽と勘平は登場せず、もっぱら大石内蔵助を中心…

国立劇場・文楽公演「奥州安達原」

文楽の東京公演(国立劇場小劇場)は、年4回しか公演されないこともあり毎回楽しみにして鑑賞している。 私のブログには新作映画優先なので、文楽鑑賞記はあまり書いてはいないが、久しぶりにアップしたくなった。今月の公演は、大夫・三味線・人形遣いとも…

「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 3D版」

スティーヴン・スピルバーグ3年ぶりの監督、私の好きなピーター・ジャクソンが製作に参加した3D作品とくれば、すぐさま映画館へ。 予想以上の面白さ、3D効果もたっぷり。とにかく、カメラワークがすごい。 モロッコの街でところ狭しと繰りひろげる追跡…

「アントキノイノチ」

父親の勧めで“遺品整理業”の会社で働く事になった杏平(岡田将生)は、同じように過去に深く心に傷を負う経験をした先輩社員のゆき(榮倉奈々)と心を通わせていく。さだまさしの同名小説を 「ヘヴンズ ストーリー」の瀬々敬久監督が映画化。 団地、学校、街…

「エッセンシャル・キリング」

セリフを極力排して緊張感ある映像がすごい「アンナと過ごした4日間」のイエジー・スコリモフスキ監督作品。 アメリカ軍に追われた男が、アフガニスタンの寒冷の自然のなかを逃げる、ひたすら逃げる。 この主人公(ヴィンセント・ギャロ)は、いっさいセリフ…

内田樹著「うほほいシネクラブ」

映画館で強制的に見せられる予告編。 最近は、「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」など映画本編のダイジェスト版のような予告編が多く、困ったものだと、私のブログで書き続けているが、そんな折に、”僕は映画を見る前には映画評やプレス・リリースの類は眼…

「マネーボール」

実話に基づく映画。 貧乏球団アスレチックスのGMビリー・ジーン(ブラッド・ピット)が、低予算でいかに強いチームを作り上げるかの物語。 メジャーリーグに疎い私にでも、面白く観て、感動した。映画はスカウトたちとの討論から始まるが、この会話が野球界…

「リアル・スティール」予告編

まるで本編ダイジェスト版のような予告編を映画館で見せられた。 12月8日公開の「リアル・スティール」。ロボット格闘技時代の到来で地位と夢を失った主人公が、息子と再会。 心を開かない息子が相手の動きを真似するロボットを発見し、ふたりでボクサーに育…

「コンテイジョン」

題名「コンテイジョン」Contagion とは、「接触感染」の意味。 新種ウイルスの感染爆発を通し、様々な立場の人々を描く群像劇。 怖い映画だ。新しい特効ワクチンの開発に精力を注ぎ、それが遂に成功し人類は救われるが、それをあえて感動的なドラマ仕立てに…

「ハラがコレなんで」

若干27歳・石井裕也監督の「川の底からこんにちは」と、「あぜ道のダンディ」にハマッタので、最新作「ハラがコレなんで」を観に行ってきた。 新宿武蔵野館は満席。面白い映画のことは、皆さん知っていますね。今回のヒロインが異色。妊娠9カ月、金なし、家…

ヒッチコック監督作品の”予告編”

前回に続き、”予告編”について、ひとこと。映画は、予備知識なしの状態で観るのが理想的だと思っている。 映画館のなかで、胸ときめかせ、次の展開にワクワク・ドキドキというのが映画の楽しみのひとつなのだから。 映画館で強制的に見せられる”予告編”には…

「ミッション:8ミニッツ」

「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」の”予告編”では、アルツハイマー治療の画期的新薬を投与されたチンパンジーが知能をつけ、人間を思いやるが、裏切られ、反乱を起こすまでを丁寧に見せて説明していた。 だから、映画館では、次の展開がほとんど読めてしま…

「オペラ座の怪人」の舞台、凄い!

25周年を迎えたミュージカル舞台ロイド・ウェバーの「オペラ座の怪人」。 私が劇団四季の舞台を初めて観たのは、福岡に単身赴任の1996年、福岡シティ劇場。 クリスティーヌ役を鈴木京子、ファントム役を村俊英が演じた。 最初で大感激、ハマッてしまい、C…

「オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン」を映画館で観る

私の最も好きなミュージカル舞台「オペラ座の怪人」。 1986年10月、ロンドンでの初公演から25周年を迎えた。 全世界での総収入は35億ポンド(約4,200億円)を超え、歴史上のすべての映画・演劇における最高の興行収入を記録しているそうだ。 世界中で大入…

「一命」3D版

小林正樹監督「切腹」という名作があるから、リメイクに過大な期待はできない。 だが、海老蔵ファンであることと、3D映画ファンであるので、やはり気になる映画ということで、三池崇史監督「一命」を、3D版で観てきた。娘夫婦と赤ん坊を一度に亡くした男…

国立劇場10月歌舞伎公演

今日は、国立劇場10月歌舞伎公演 「開幕驚奇復讐譚(かいまくきょうきあだうちものがたり)」を観てきた。ちょとしたハプニングが。 尾上菊五郎が、舞台でセリフ「今日は母の命日」と言うべきところ、「今日は自分の命日」と言ってしまう。それに、菊五郎自…

瀬々敬久監督と山崎ハコさんが語る 「ヘヴンズ ストーリー」

”第17回しんゆり映画祭”の最終日。 川崎市アートセンターへ、”21世紀の『罪と罰』”という瀬々敬久監督「ヘヴンズ ストーリー」を観にいってきた。 さすが、「日本映画大学」のある街・新百合ヶ丘だけに、入場券は完売で満席だ。全9章・上映時間4時間38分、最…

「ツレがうつになりまして。」

宮崎あおいが、マイペースなマンガ家 堺雅人が、生真面目な夫”ツレ” を演じると聞けば、想像どおりの夫婦像が展開される。 ふたりがピタリ、役にはまっている。 うつ病のお話なのに、深刻なものではなくて、ほのぼのとした風味が、共感を誘う。 原作(細川貂…

「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」

なぜ猿が人間以上の知能をもち、地球の支配者になったのかという謎は、この映画の予告編を観ればわかってしまう。 そう、アルツハイマー治療の画期的新薬なのだ。 私は謎解きを既に予告編で観てしまっていたので、残る謎は、なぜ人類文明は崩壊してしまった…

「天国からのエール」

沖縄で小さな弁当屋を営むかたわら、無料の音楽スタジオを作り、夢を持つ高校生を応援した仲宗根陽の実話を映画化。犬童一心監督作「ゼロの焦点」などでチーフ助監督をつとめた熊澤誓人の長編初監督作品。お涙頂戴の難病モノには描いていないし、ラストの見…

亀治郎が猿之助襲名、香川照之も歌舞伎に

歌舞伎俳優の市川亀治郎が、四代目市川猿之助(えんのすけ)を襲名するという嬉しいニュースが。私が歌舞伎にはまったのは、まさに三代目猿之助の舞台だった。 大掛かりな舞台装置、宙乗り、早替わり等歌舞伎の面白さ、劇場でしか味わえないスペクタクルの魅…

「一枚のハガキ」

「私の存在は、94人の犠牲の上に成り立っている」 <新藤兼人監督 98歳の舞台挨拶>戦争が終わり100人いた兵士のうち6人が生き残った。 その生死を分けたのは、上官が彼らの赴任先を決めるために引いた“くじ”だった―という、監督自身の体験から生まれた映画…

1965年、映画制作の頃

「ゴーストライター」を観て、ロマン・ポランスキー監督の15分の短編映画「タンスと二人の男」(1958年)を思い出した。 高校生時代に、atgアートシアターで観た。海の中(初期の監督代表作に「水の中のナイフ」がある)からタンスを抱えて歩いてくる二人の…

「ゴーストライター」

”知りすぎた、男ー。 名匠ポランスキーがサスペンスフルに描く。 現代最高峰のエンターテインメント!”なにやらヒッチコック・サスペンスのようなキャッチコピー。 監督は「戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキー。面白かった。極上のサスペンス・ミステ…

声明と雅楽の演奏会

国立劇場開場45周年企画公演・声明と雅楽の演奏会を聴きに行ってきた。 大劇場は満員。 めったに聴くことができない作品だけに、生で聴く喜びをかみしめながら鑑賞した。前半は、 国立劇場委嘱作品で、今回が初演だという、菅野由弘作曲の声明作品「十牛図(…

「あぜ道のダンディ」

若干27歳・石井裕也監督の「川の底からこんにちは」がすこぶる面白かったので、最新作「あぜ道のダンディ」を観に行った。宮田淳一(光石 研)50歳。配送業。 妻には先立たれ、浪人中の息子と高校3年生の娘がいるが、家ではうまく会話ができない。 話せるの…

1964年、和田誠のアニメ「MURDER!」

世田谷文学館で開催中の展覧会「和田誠展 書物と映画」を観に行った。 楽しい。和田誠の魅力満載。 文学館での開催なので本の装丁デザインが中心だが、映画・演劇のポスター版下にも見るべきものが多かった。 原画だと、また一味違う味わいだ。素晴らしい。 …

「切腹」と「一命」

<私の映画遍歴10 大学生時代>1964年(昭和39年)、東京オリンピックの年。 はれて大学に入学したものの、とんでもないことが大学で起きた。 学費値上げ反対で全学ストに突入したのだ。 大学とは駅の反対側にある麻雀荘に入りびたりで、なんか麻雀ばかり…