映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「コンテイジョン」

題名「コンテイジョン」Contagion とは、「接触感染」の意味。
新種ウイルスの感染爆発を通し、様々な立場の人々を描く群像劇。
怖い映画だ。

新しい特効ワクチンの開発に精力を注ぎ、それが遂に成功し人類は救われるが、それをあえて感動的なドラマ仕立てにしていないところが、この映画のポイント。
ここに描かれたリアルで科学的なシミュレーションを通じて、観客に感情的ではなく、冷静に考えさせるのがスティーブン・ソダーバーグ監督の狙いに違いない。
同時並行して描かれる群像劇は、わかり易く、スリリングだ。

<以下ネタバレします>
豪華キャストにも驚くが、グウィネス・パルトローは映画が始まって直ぐに死亡、検死解剖されるシーンがまた衝撃的。
まるでヒッチコック監督作「サイコ」と同じで、有名女優の突然の死亡が観客には想定外で、恐怖が増幅される。

いくつかの登場人物のなかでは、フリーライターを演じるジュード・ロウのエピソードが現代的。
強い抗菌作用があるというレンギョウ効果をネットに流したり、拘留されても支持者の保釈金ででてきたり、感情的扇動者の姿ぶりなど、同じブロガーとして興味深く観察できた。

そして最後の「感染1日目」の映像で、その感染ルートが明かされる。
映画の冒頭シーンが「感染2日目」だったことを思い出す。
にくい構成だ。

握手が習慣ではない日本人でも”怖い”と、実感させられた。