映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「ゴーストライター」

”知りすぎた、男ー。
  名匠ポランスキーがサスペンスフルに描く。
  現代最高峰のエンターテインメント!”

なにやらヒッチコック・サスペンスのようなキャッチコピー。
監督は「戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキー

面白かった。極上のサスペンス・ミステリーといえる。

元英国首相ラングの自伝執筆のために出版社より派遣されたゴーストライターユアン・マクレガー)は、ラングが滞在するアメリ東海岸の孤島に向かう。
曇天やら雨の中、寒々しい海や島の景色が不穏な雰囲気をだしている。
前任者の死の謎、ラングの妻との接近、真実を追求していくうちに、追われる身に。

”追われながら、真相を追っていく”というシュチュエーション。
真相は二の次で、追いかけのサスペンスが真骨頂というのはヒッチコック監督お得意のパターンだが、この映画では真相にもこだわるところにポランスキーらしさが。

ハンサムだが中身は空っぽなラングは、明らかにブレア元英国首相で、これが一種のリアリティーあるドラマ仕立てとなっている。
しかもこの役を英国スパイのボンド役で活躍したピアース・ブロスナンに演じさせているから、さらに挑戦的だ。

追われる身、孤独な作家のゴーストライターの姿が、
華やかな絶頂期の過去、転じて批難される身となる元英国首相の姿が、
亡命生活中の監督の姿とダブってみえるから、監督の心情を吐露した私小説といった映画にもなっている。