映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「エッセンシャル・キリング」

セリフを極力排して緊張感ある映像がすごい「アンナと過ごした4日間」のイエジー・スコリモフスキ監督作品。
アメリカ軍に追われた男が、アフガニスタンの寒冷の自然のなかを逃げる、ひたすら逃げる。
この主人公(ヴィンセント・ギャロ)は、いっさいセリフを喋らない。
セリフがないから、映像だけで見せる映画仕立てとなっている。
この手の映画は、私の好み。

この映画の最後に、白い馬が登場。
えっ!これはアルベール・ラモリス監督の「白い馬」ではないか!
白い馬と少年の友情を、セリフを排してみずみずしい映像だけで見せた詩情あふれた名作映画。
牧童たちに追われ、白い馬に乗って逃げた少年は波の彼方へと消えていく・・
まるで神話のように心が浄化されるラストだ。

そう、主人公は、「エッセンシャル・キリング」(=生き延びるための必要不可欠な殺人)をやめて、「白い馬」に乗って、山の奥へと消えていく・・
同じラストのようだ。

セリフを排するためのシチュエーション設定と逃げる・追い詰めるストーリー展開が作為的であるので、映像集中力が散漫となることがあった。これがちょっと残念。


マイブログ記事から 「白い馬」
http://d.hatena.ne.jp/uramado59/20080830/1220067360