映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

2017-01-01から1年間の記事一覧

2017年のベスト映画10本

1.「ダンケルク」(クリストファー・ノーラン監督) 圧倒的な臨場感で、戦場を体感する映画。 命の尊さを強烈に体感した映画でもあった。 2.「人生フルーツ」(伏原健之監督) ”人生は、だんだん美しくなる”ということを証明してみせた。 コツコツ、ゆっ…

「ローガン・ラッキー」

”全米最大のモーターカーイベントで現金強奪” と聴いただけで、観たくなる映画。 この手の現金強奪ものは大好き。 「男の争い」「マダムと泥棒」「現金に体を張れ」「黄金の七人」等々の多くの傑作を若かりしときに観ていたからであろうか。2013年に監督引退…

新海誠展( 国立新美術館)

現役アニメーション映画監督の名を冠した展覧会が開催されるなんて、すごいことです。 私は監督の全作品を観ているファンなので、国立新美術館へと行ってきました。文字どおり新海誠監督の15年の軌跡をたどる展覧会で、 「ほしのこえ」、「雲のむこう、約…

「ブレードランナー 2049」

”やがて人類は絶滅しー レプリカントが世界を支配する。 だが、多くは創れない。”1982年、「ブレードランナー」が公開されリアルタイムで観た時、私には物語を理解できなかった。ただただ、酸性雨が降りしきるロサンゼルスの退廃的風景その世界観に圧倒…

「アウトレイジ 最終章」

好きな大物俳優を集め、好きな映画を自らも楽しんで作ることができる監督・北野武。シリーズお約束の、「コノヤロー」「バカヤロー」の連発、工夫をこらしたお仕置き方法、裏切りと抗争バイオレンスは、今回も健在。シリーズ通して、やくざ世界をお笑い化さ…

「池田学展」に衝撃

日本橋高島屋で開催中の「池田学展 The Pen ー凝縮の宇宙ー」を観てきた。今年は美術館に26回と月3回ペースで観ているが、今年これまで最も衝撃を受けた展覧会だった。わずか1mmに満たないペン先の緻密な線で壮大な世界を描き出す現代アーティスト池田学…

「ダンケルク」

第2次世界大戦初期、フランス北部のダンケルク。 英仏の連合軍がドイツ軍に追い詰められた史上最大の救出作戦。 その真っただ中に観客は放り込まれる。 約40万人もの兵士救出劇は、陸・海・空3つの舞台と3つの時間軸で描かれ、息つく暇もない。”体感するシネ…

「散歩する侵略者」

謎の侵略者に体を乗っ取られた夫(松田龍平)と翻弄される妻(長澤まさみ)、他の侵略者と同行取材することとなったジャーナリスト(長谷川博己)の3人を視点に異様な日常を描く。前川知大による劇団イキウメの人気舞台を「クリーピー 偽りの隣人」の黒沢清…

「スパイダーマン:ホームカミング」

面白い。良くできた青春映画でもある。マーベルの人気ヒーローが活躍する新シリーズの本作は、ピーター・パーカー(トム・ホランド)が15歳の高校生。アイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr)の指導でヒーローへと成長していく姿と、友情・恋愛・部活動な…

テレビドラマ「ツイン・ピークス The Return」が凄い

あの米テレビドラマ「ツイン・ピークス」が、25年ぶりに新シーズンとして復活。私は25年前このドラマに、はまった。 映画版「ツイン・ピークス/ローラ・パーマー 最期の7日間」も観たし、オリジナル・サウンドトラック CDも購入した(睡眠導入に抜群で、いつ…

「セールスマン」

トランプ政権の入国禁止大統領令に抗議して、監督と主演女優が今年のアカデミー賞授賞式をボイコットしたことで話題となり、見事にアカデミー賞外国語映画賞を獲得した作品。 しかも二度目の受賞というイランのアスガー・ファルハディ監督最新作だということ…

「ハクソー・リッジ」

「ブレイブハート」のメル・ギブソン10年ぶりの監督作で、本年度アカデミー賞で作品賞など6部門にノミネートされた。"ハクソー・リッジ"とは、"のこぎり崖"。 そこは、第2次世界大戦で壮絶な戦いが繰り広げられ、多くの死者を出した沖縄の前田高地を指す。 …

「ラオス 竜の奇跡」

日本ラオス国交60周年記念して作られた初の合作映画。 ラオスという国は、アジアの中でも知られていない国、最も遠く感じる国だ。 国交60周年というのだが、どんな交流があったのかも知らなかった。 1960年にラオスでダム建設調査に来ていた日本人技師の…

「22年目の告白−私が殺人犯です−」

私は未見の韓国映画「殺人の告白」(2012年)のリメイクという。 本格サスペンスミステリーとして面白く観た。 がぜん韓国版も観たくなった。22年前の残忍な連続殺人事件の殺人犯が、時効を迎え、マスコミに自分が犯人と名乗り出て告白本を出版するというプ…

「家族はつらいよ2」

山田洋次監督作「家族はつらいよ」の続編。 前作の家族メンバーが全員集合するので、また平田家の家族に会えてなにかホッとする。 「男はつらいよ」と同じ気分なのが、魅力。今回は、高齢者の運転免許返上問題と独居老人の死という騒動で、にぎやかに家族会…

「美女と野獣」

ディズニー・アニメの傑作を「シカゴ」「ドリームガールズ」のビル・コンドン監督が完全実写映画化。 アニメ版が作られたのが1991年というのだから、えっ!26年も前のことと、びっくり。 自分の中では今も生き続けているのだが。 アニメ版も何回か観て、サン…

いちはらアートXミックス2017

千葉県の中央に位置する市原で開催されている芸術祭「いちはらアートXミックス」に行ってきました。 今年開業100周年を迎えるという「小湊鉄道」に乗って、 五井駅から1時間ほどの無人駅「月崎駅」で降車。 駅の隣は人を森へ導く駅「森ラジオステーション」…

「海は燃えている〜イタリア最南端の小さな島〜」

アフリカ大陸に最も近いイタリア最南端の小さな島が舞台。 そこに住む少年が、手製のパチンコ遊具を作るために適した木の枝を探すところから映画は始まる。 カメラは静かに、島民の暮らしぶり、美しい空や海、豊かな自然を切り取る。 だが、命がけで難民たち…

「モアナと伝説の海」日本語版

「字幕版」で観たかったのだが、字幕版は夜の1回だけ上映だったので、昼間に「日本語版」で鑑賞。あらかじめ日本語版キャストを調べたら、主役モアナ役は、屋比久知奈(やびく ともな)という人。 知らない名前だった。 沖縄出身で現在大学に通う女子大生の…

多様な映画を楽しんだ1990年代

<私の映画遍歴17 1990年代の頃> 90年代にはいってバブルは終焉し、あのバカ騒ぎは沈静化した。そんな時観た北野武監督「あの夏、いちばん静かな海。」に感動した。 タイトル名の最後に「。」をいれた新鮮な驚き。 少ないセリフの語り口、キタノブルー…

ビデオ全盛の1980年代

<私の映画遍歴16 1980年代の頃>大好きなジョン・フォード監督「駅馬車」をNHKTVで放映するというので、まだ一般には普及していなかったビデオ録画機器を購入してから程なく、ビデオレコーダーは80年代になると家庭に一気に普及。 レンタルビデオ…

「この世界の片隅に」再び

すずさんに会いたくなって、観てきた。キネマ旬報、映画芸術、毎日映画コンクール、日本アカデミー賞・・ 多くの賞を取りながら超ロングラン興行中。 クラウドファンディング資金応募は、3,374人、3900万円集まったという。 皆が望んだ企画、それに応えたス…

春の珍事!アカデミー賞受賞結果発表(速報)

WOWOWで、アカデミー賞授賞式の生中継を見ていたら、とんでもないことが発生。最後に受賞される「作品賞」の発表。 プレゼンテイターのウオーレン・ビューティーらが、作品賞を「ラ・ラ・ランド」と発表。 全員が舞台に上がり、プロヂューサーが感激のスピー…

「ラ・ラ・ランド」

日常生活と違う世界へと誘うためには”冒頭”が鍵。 川端康成は、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」と表現。ミュージカル映画も、日常が歌いだすので、非日常的世界へと誘う”冒頭”が重要である。 有名な「ウェスト・サイド物語」冒頭場面。 クレ…

大学生時代と鈴木清順監督

私は1964年(昭和39年)東京オリンピックの年に大学進学した。当時の映画界は、アラン・レネ、ジャン・リュック・ゴダール、イングマル・ベルイマンといった”ATG系ヨーロッパ映画監督”の時代だった。映画を万年筆のように自在に描く”作家主義”が世界の主…

「サバイバルファミリー」

「ウォーターボーイズ」「ハッピーフライト」の矢口史靖監督最新作。電気消滅! 交通機関や電話、ガス、水道まで完全にストップしたら、どうなるか。 自分なら、やはり”そのうち戻るでしょう”と軽く考えてしまうのではないか。父親(小日向文世)は、自分の…

国立劇場2月文楽公演「平家女護島」

国立劇場開場50周年記念2月文楽公演は、近松門左衛門名作集。「曾根崎心中」と「冥途の飛脚」は何度か鑑賞してきたので、今回は第一部「平家女護島(へいけにょごのしま)」を鑑賞。 「平家物語」や能「俊寛」などでも取り上げられてきた近松晩年の時代物。”鬼…

2017年アカデミー賞 大胆予想

WOWOW中継を毎年楽しみにしているアカデミー賞授賞式は2月26日(日曜日)。 このブログで毎年恒例の予想時期となったのだが、作品賞候補作9本で日本で公開された作品はゼロ。 前哨戦といわれるゴールデングローブ賞での作品賞は、「ムーンライト」と「ラ・…

「マグニフィセント・セブン」

久々の正統派西部劇を楽しんだ。黒澤明監督作「七人の侍」と西部劇でリメイク「荒野の七人」。この傑作2本を再リメイク。 タイトル原題は、リメイク版と同じ。 「トレーニング・ディ」のアントワン・フークア監督。ガンマン7人は人種もさまざま、村人の女…

「聖杯たちの騎士」

現役の映画監督のなかで一番好きな監督は、テレンス・マリック。どれほど好きかと問われれば、ブログを書き始めて12年。 毎年恒例の「私が選んだベスト映画10本」で、ベストテン第1位に選んだ作品のうちテレンス・マリック監督作が2本もある。 2011年ベ…