映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

アカデミー賞生放送を観る

第96回アカデミー賞生放送をWOWOWで観た。毎年生放送を楽しみに観てきたが、ここ数年で最も充実の授賞式だった。 司会のジミー・キンメルは原稿なしで次々とショーを盛り上げる。トランプ元大統領も、真っ青。数々のショーのなかでは「Ken」を歌ったライアン…

2023年マイベスト映画5本

今年も100本以上の映画を観たのだが、今年公開の新作映画は18本だけ。その中からマイベスト5本を選びました。 第1位「別れる決心」パク・チャヌク監督ヒッチコック監督「めまい」降臨。ファムファタールにゾクゾクした。 第2位「TAR ター」トッド・フィー…

和田誠はワイルダーがお好き

40年続いた「週刊文春」の表紙絵で知られる和田誠さんは、大のビリー・ワイルダーファン。2021年10月、東京オペラシティー・アートギャラリーで開催された「和田誠展」でも、多くのワイルダー関連作品が展示されていました。

ビリー・ワイルダー監督作5選

監督作5選(制作順)を選べば 「サンセット大通り」1950年サイレント映画時代の大女優で過去の栄光にすがって暮らしている老女役のグロリア・スワンソンが不気味で妖気が漂う迫真の演技に圧倒される。 「昼下りの情事」 1957年 プレイボーイの大富豪(ゲイ…

ビリー・ワイルダー監督第8作~12作

ビリー・ワイルダー監督第8作「地獄の英雄」(1951)事故現場に遭遇した新聞記者を通して騒動を客観的な描写力で描く。カーク・ダグラスの演技も光る。 第9作「第十七捕虜収容所」(1953)収容所内の人物描写が素晴らしく、最後まで飽きさせず、実に面白い…

2022年マイベスト映画5本

今年も映画館に足を運ぶことが少なくなりました。なんとか選んだ2022年新作映画のベスト5です。 第1位「ベルファスト」ケネス・ブラナー監督現代の不確かで分断の世界情勢に、あえて監督の少年時代を描いて家族愛に感動でふくらむ。 第2位「カモン カモン…

ビリー・ワイルダー監督第7作「サンセット大通り」

フィルム・ノワールの傑作であり、ワイルダー監督代表作の一本。 サイレント映画時代の大女優であったが今や老女となり過去の栄光にすがって名監督を召使にして暮らしている大邸宅にやってくる脚本家。 老女優を演じるグロリア・スワンソンが不気味で妖気が…

ビリー・ワイルダー監督第6作「異国の出来事」

「異国の出来事」(原題「A Foreign Affair」1948年)は、敗戦国の日本では未公開。私はレンタルビデオ鑑賞済で、今回Amazonプライムビデオで2回目の鑑賞。 連合軍占領下のベルリンを舞台にしたラブコメ。冒頭飛行機の中から見える悲惨な街のベルリン。監督自…

ビリー・ワイルダー監督第5作「皇帝円舞曲」

ユダヤ人だったビリー・ワイルダーは、大戦終了直後にベルリンを訪れ、家族がアウシュヴィッツで虐殺されたことを確信したという。 ワイルダー監督戦後最初の作品が、深刻な内容ではなく明るく楽しい作品を選んだ気持ちもわかる気がする。日本でも木下恵介監…

ビリー・ワイルダー監督第4作「失われた週末」

「失われた週末」(1945年)は、ハリウッドで初めてアルコール依存症を真正面から捕らえた問題作。終始依存症の恐怖をリアルに描く。今観ると、さほどの恐怖感はないのだが、公開当時は相当ショッキングな内容だったのだろう。 ニューヨークのビル風景からア…

ビリー・ワイルダー監督第3作「深夜の告白」

「深夜の告白」(1944)は、映画の新たなスタイル=フィルム・ノワールの古典である。 原題の”DoubleIndemnity”は「倍額保障」という保険用語。倍額となる保険金を目当てに殺人を犯す男女の物語。 映画は負傷状態で深夜オフィスに入ってきた保険会社の敏腕外…

ビリー・ワイルダー監督第2作「熱砂の秘密」

ハリウッドでの監督第1作「少佐と少女」でビリー・ワイルダー監督が選んだテーマはコメディー。次の監督第2作「熱砂の秘密」(1943)でのテーマは、作風を変えてスパイ・サスペンスドラマ。この2作によってワイルダー監督の異なる二つの個性が露わとなる。『…

ビリー・ワイルダー監督第1作「少佐と少女」

ヒッチコックとともに大好きな映画監督ビリー・ワイルダー。 ハリウッドでの監督作全25本のうち、これまで観ていない作品は監督第1作の「少佐と少女」(1942年 日本未公開)の1本だけだった。が、なんとAmazonプライムビデオで観ることができた。感激! 監督…

アカデミー賞授賞式を観る

昨日発表されたアカデミー賞授賞式の生中継をWOWOWで観た。2年ぶりにドルビー・シアターでの授賞式開催で華やかに進行、3人の女性による司会も軽妙で祭典を盛り上げていた。 濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が、作品賞、監督賞、国際長編映画賞、脚…

2022年アカデミー賞 大胆予想

2年ぶりにドルビー・シアターでのアカデミー賞授賞式開催が決定した. 今年は、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が作品賞、監督賞、国際長編映画賞、脚色賞にノミネートされ話題に。国際長編映画賞と脚色賞の受賞が有力視されている。 主要6部門、私…

「シネラマ・ホリデー」(1955年)

1950年代、テレビの脅威に対抗して映画界は超大型画面を誕生させた。その一つが、「シネラマ」。 シネラマは、3本レンズの専用カメラを使い撮影し、映画館では、3台の専用映写機で超大型湾曲スクリーンに映写する新技法。 私は1960年に東京日比谷の帝国劇場…

「ドライブ・マイ・カー」アカデミー賞報道

第94回アカデミー賞のノミネート作品が、2月8日に発表され、濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が、作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞の計4部門でノミネート。 受賞したわけでもないのにマスコミ報道は過熱気味だ。「作品賞ノミネートは1世紀近…

学園祭の浜美枝さん

朝日新聞版”私の履歴書”「語る 人生の贈りもの」で、浜美枝さんの連載20回が本日終了した。 浜さんで思い出すのが大学の学園祭。所属していた映画研究会では学園祭に若手女優を呼ぼうという企画で、浜さん、坪内ミキ子さん、鰐淵晴子さんが来てくれた。会場…

2021年マイベスト映画5本

新年おめでとうございます。 コロナ禍で映画館に足を運ぶことが少なくなりました。なんとか選んだ2021年新作映画のベスト5です。 第1位「ノマドランド」クロエ・ジャオ監督実名の出演ノマド達に溶け込んでいたマクドーマンドに脱帽した。 第2位「花束みた…

ipadが来た

ipad 第9世代 256GBが来た。 さっそくWOWOWオンデマンド、amazonPrime、YouTubeなど動画サイトに接続して、これからどんな場所でも映画鑑賞できるのが嬉しい。 同時入手したアクセサリーのペンシル、キーボードも使い勝手がPCより良い。 HomePodMiniは(写真…

「日本列島」(1965年)

吉原公一郎の原作「小説日本列島」を、熊井啓監督が衝撃デビュー作「帝銀事件 死刑囚」に続く第2作目となる脚本監督作。キネマ旬報ベストテン第3位。 戦後日本で起きた謎の多い諸事件を米国の謀略と関連付けて追及した社会派ミステリードラマ。 1965年公開当…

「ローマの休日」

今週11日にNHKBSプレミアムで放映予定。オードリー・ヘプバーン魅力満載の本格デビュー作。 少女は王女で、心も身体も”大人の女”になるという成長物語。しかも丸一日という短時間で変身できたのは、新聞記者との恋愛。当時の映画はベッドシーンはNG。そこで…

「人情紙風船」4Kデジタル修復版

日本映画専門チャンネルで鑑賞。この4Kデジタル修復版は、‌オープンセットが美しく蘇り驚くばかりの見事な修復ぶり。だからこそ江戸の町人生活描写が一層輝いてみえる。前進座俳優陣の生きた自然な演技で支える。 無駄を排し、多くを語らぬ描写力。 質屋の…

「いのちの停車場」

新型コロナワクチン接種2回目を終えて私は一安心。少しずつ映画館に足を向けよう。 この映画「いのちの停車場」は、現役医師の南杏子による同名小説を映画化したもの。 在宅医療専門の診療所で再出発する女医(吉永小百合)が,終末期医療の現場に直面する。…

アカデミー賞授賞式を観る

第93回アカデミー賞授賞式中継をWOWOWで観た。 先月開催された第63回グラミー賞授賞式は、無観客とはいえ素晴らしいパフォーマンス、出演者たちのパワーやメッセージ力に圧倒されたので、今回アカデミー賞にも期待していたのだが・・ なんとも盛り上がりに欠…

グラミー賞授賞式を観る

音楽の祭典第63回グラミー賞授賞式中継をWOWOWで観た。無観客での授賞式なので、正直どうなるか心配していたが、素晴らしいパフォーマンス舞台と、人種差別もぶっ飛ばすパワーやメッセージ力に圧倒された。 主要4部門を女性アーティストが制覇し、まさに女性…

松竹映画の100年

2020年に映画製作100周年を迎えた松竹。 「松竹映画」といえば、私には木下恵介監督と小津安二郎監督ふたりの作品がまず浮かぶ。 映画が最大の娯楽で毎年100本以上の映画を観ていた中学生時代に、木下恵介監督の「喜びも悲しみも幾歳月」を公開時に観て感動…

謹賀新年

あけましておめでとうございます 2006年1月にブログ開設してから16年目となりました。当初数年間は週2回投稿をめざし書き始めたのですが、昨年は月1回と少なくなっています。 それでも、投稿を止めてしまうと過去の投稿記事とお別れしてしまうような寂し…

2020 ベスト映画10本

コロナ禍で、もっぱら自宅でWOWOWやAmazonPrimeVideoでの鑑賞が多かった1年。今年観た映画は226本。古い映画再発見の1年でもあった。なんとか選んだ今年新作映画のベストテン。 第1位「パラサイト 半地下の家族」ポン・ジュノ監督映画の持つあらゆる要素…

TVアニメ版「鬼滅の刃」

超ヒット快進撃中の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、原作第7巻からのお話ということなので、原作第1巻から第7巻冒頭迄を描くTVアニメ版(全26話)を観ておかねばならない。 そこで、動画配信Amazon Prime Videoで、まったく予備知識なきまま鑑賞。 第1…