映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「あぜ道のダンディ」

若干27歳・石井裕也監督の「川の底からこんにちは」がすこぶる面白かったので、最新作「あぜ道のダンディ」を観に行った。

宮田淳一(光石 研)50歳。配送業。
妻には先立たれ、浪人中の息子と高校3年生の娘がいるが、家ではうまく会話ができない。
話せるのは唯一子供の頃からの友人の真田(田口トモロヲ)だけ。
男としてカッコよくありたいと願うが、うまくゆかない。
自分が妻と同じ癌ではないかというところから、何かが心に生じ、変わり始める。
”男は弱音をはかない。”

コミカルに淡々と進む。石井裕也監督の独特のスタイル。
この味がなんとも心地よい。
この若さで、もう自分のスタイルを創ってしまった。

「川の底から」では、社歌。今回は「うさぎのダンス」が、スパイス味となって、笑いを誘う。
"中の下”でも、頑張るしかない男の哀歓。
それを光石研がユルく演じて、ちっともカッコ良くないところが楽しい。
友人の真田のほうがダンディだったりして。
心温まるラストが用意され、ちょっとしんみりさせられる満足の一作。