映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「一命」3D版

小林正樹監督「切腹」という名作があるから、リメイクに過大な期待はできない。
だが、海老蔵ファンであることと、3D映画ファンであるので、やはり気になる映画ということで、三池崇史監督「一命」を、3D版で観てきた。

娘夫婦と赤ん坊を一度に亡くした男の怒りと憎しみ。
この顛末が、じっくりと描かれている。
一命を賭けた男の情念の映画として観た。
幼い孫をもつ私としては、正直、身につまされた。
セリフ劇、眼力、時代劇の殺陣、とくれば海老蔵ならではの迫真の演技である。

3Dの魅力もある。
<秋> 3D効果で浮き出る紅葉、遠くには石仏群(=死のイメージ)。
<秋から冬へ> 小雨から雪に変わる家の前。
雪が3D効果で前面に降りしきる、奥には粗末な家が、その家の中で赤ん坊の死を迎える。
移りゆく季節の自然描写を、3D効果で見せた後だからこそ、
<冬> 井伊家に乗り込んだ津雲半四郎の「ただ春を待っていただけだ。」という最後のせりふが生きてくるのだ。



マイブログ記事から 「切腹」と「一命」
http://d.hatena.ne.jp/uramado59/20110901/p1