映画館で強制的に見せられる予告編。
最近は、「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」など映画本編のダイジェスト版のような予告編が多く、困ったものだと、私のブログで書き続けているが、そんな折に、
”僕は映画を見る前には映画評やプレス・リリースの類は眼に入れないようにしています。できるだけ予備知識のない状態で、映画館のシートに座って、映画の中の出来事にびっくりしたい。”
というひとの本に出会った。私も、まったく同感。
内田樹著「うほほいシネクラブ」(文春新書)。
大学教授の書いた本。
映画評論家ではないので、ストレートに映画の楽しさが伝わってきて、実に面白い。
監督論では、
”クリント・イーストウッド監督をひとことで言えば、「洗練」。だからすべてが「少し足りない」。”
”ジョン・ウー監督の秘密は、「入れ替わり」。”
”よい映画というのは「この絵が好き!」という脅迫的な欲望に駆られたフィルムメイカーにとって撮られる。小津安二郎でいえば、「洗濯物」と「列車」。”
作品論でも、
”「あしたのジョー」をヒラリー・スワンクでリメイクは、大正解”という「ミリオンダラー・ベイビー」、
”テンガロン・ハットのひさしが涙を隠してくれる。”という秘密に迫った「ブロークバック・マウンテン」をはじめ、
「僕らのミライへ逆回転」、「マルホランド・ドライブ」等々、もう読み出したら、おもわず、”そう、そう!”と、うなづくことが多かった。
「仁義なき戦い」シリーズの最高作は、暴力シーンのない「代理戦争」というのも、同感。
一気に読んでしまったので、もう1回ゆっくり読み直したが、やはり面白かった。
こんな本はひさしぶり。