映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

2022-01-01から1年間の記事一覧

ビリー・ワイルダー監督第7作「サンセット大通り」

フィルム・ノワールの傑作であり、ワイルダー監督代表作の一本。 サイレント映画時代の大女優であったが今や老女となり過去の栄光にすがって名監督を召使にして暮らしている大邸宅にやってくる脚本家。 老女優を演じるグロリア・スワンソンが不気味で妖気が…

ビリー・ワイルダー監督第6作「異国の出来事」

「異国の出来事」(原題「A Foreign Affair」1948年)は、敗戦国の日本では未公開。私はレンタルビデオ鑑賞済で、今回Amazonプライムビデオで2回目の鑑賞。 連合軍占領下のベルリンを舞台にしたラブコメ。冒頭飛行機の中から見える悲惨な街のベルリン。監督自…

ビリー・ワイルダー監督第5作「皇帝円舞曲」

ユダヤ人だったビリー・ワイルダーは、大戦終了直後にベルリンを訪れ、家族がアウシュヴィッツで虐殺されたことを確信したという。 ワイルダー監督戦後最初の作品が、深刻な内容ではなく明るく楽しい作品を選んだ気持ちもわかる気がする。日本でも木下恵介監…

ビリー・ワイルダー監督第4作「失われた週末」

「失われた週末」(1945年)は、ハリウッドで初めてアルコール依存症を真正面から捕らえた問題作。終始依存症の恐怖をリアルに描く。今観ると、さほどの恐怖感はないのだが、公開当時は相当ショッキングな内容だったのだろう。 ニューヨークのビル風景からア…

ビリー・ワイルダー監督第3作「深夜の告白」

「深夜の告白」(1944)は、映画の新たなスタイル=フィルム・ノワールの古典である。 原題の”DoubleIndemnity”は「倍額保障」という保険用語。倍額となる保険金を目当てに殺人を犯す男女の物語。 映画は負傷状態で深夜オフィスに入ってきた保険会社の敏腕外…

ビリー・ワイルダー監督第2作「熱砂の秘密」

ハリウッドでの監督第1作「少佐と少女」でビリー・ワイルダー監督が選んだテーマはコメディー。次の監督第2作「熱砂の秘密」(1943)でのテーマは、作風を変えてスパイ・サスペンスドラマ。この2作によってワイルダー監督の異なる二つの個性が露わとなる。『…

ビリー・ワイルダー監督第1作「少佐と少女」

ヒッチコックとともに大好きな映画監督ビリー・ワイルダー。 ハリウッドでの監督作全25本のうち、これまで観ていない作品は監督第1作の「少佐と少女」(1942年 日本未公開)の1本だけだった。が、なんとAmazonプライムビデオで観ることができた。感激! 監督…

アカデミー賞授賞式を観る

昨日発表されたアカデミー賞授賞式の生中継をWOWOWで観た。2年ぶりにドルビー・シアターでの授賞式開催で華やかに進行、3人の女性による司会も軽妙で祭典を盛り上げていた。 濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が、作品賞、監督賞、国際長編映画賞、脚…

2022年アカデミー賞 大胆予想

2年ぶりにドルビー・シアターでのアカデミー賞授賞式開催が決定した. 今年は、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が作品賞、監督賞、国際長編映画賞、脚色賞にノミネートされ話題に。国際長編映画賞と脚色賞の受賞が有力視されている。 主要6部門、私…

「シネラマ・ホリデー」(1955年)

1950年代、テレビの脅威に対抗して映画界は超大型画面を誕生させた。その一つが、「シネラマ」。 シネラマは、3本レンズの専用カメラを使い撮影し、映画館では、3台の専用映写機で超大型湾曲スクリーンに映写する新技法。 私は1960年に東京日比谷の帝国劇場…

「ドライブ・マイ・カー」アカデミー賞報道

第94回アカデミー賞のノミネート作品が、2月8日に発表され、濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が、作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞の計4部門でノミネート。 受賞したわけでもないのにマスコミ報道は過熱気味だ。「作品賞ノミネートは1世紀近…

学園祭の浜美枝さん

朝日新聞版”私の履歴書”「語る 人生の贈りもの」で、浜美枝さんの連載20回が本日終了した。 浜さんで思い出すのが大学の学園祭。所属していた映画研究会では学園祭に若手女優を呼ぼうという企画で、浜さん、坪内ミキ子さん、鰐淵晴子さんが来てくれた。会場…

2021年マイベスト映画5本

新年おめでとうございます。 コロナ禍で映画館に足を運ぶことが少なくなりました。なんとか選んだ2021年新作映画のベスト5です。 第1位「ノマドランド」クロエ・ジャオ監督実名の出演ノマド達に溶け込んでいたマクドーマンドに脱帽した。 第2位「花束みた…