映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

2010-01-01から1年間の記事一覧

2010年のベスト映画10本

今年1年間で私が観た映画は91本。うち映画館で40本。 BS・CS放送とDVDで51本。<今年映画館で観た映画のベストテン> 1「悪人」 観終わって、この題名の奥深さ、時代の閉塞感に圧倒された。 2「息もできない」 暴力の連鎖に衝撃。まさに「映…

「最後の忠臣蔵」

大好きで何回か読み直している数少ない小説のひとつが、池宮彰一郎の「四十七人目の浪士」(文庫版では「最後の忠臣蔵」)だ。映画脚本家らしく短い言葉で綴る文章が胸に迫ってくる。小説では、”忠義”は具体的に書かれるのではなく、じわり行間に滲む。そこ…

「白いリボン」

”美しい村、静かな暮らし 聴こえてくる魔物の足音”このキャッチコピーどおり、暮らしは貧困だが、美しい平和で静かな村が、一転、奇妙な事件が続く・・まるで中世の村に悪魔が潜むかのような、異様な気配が。”魔物の足音”とは、”戦争の足音”。1913年が舞台の…

「ノルウェイの森」

村上春樹の小説「ノルウェイの森」をベトナム系フランス人監督のトラン・アン・ユンが映像化。物語の時代1969年は、東大安田講堂事件の挫折感ただよう空気、アポロ11号月面着陸の現実感なき夢というような年で、私自新は独身サラリーマンを呑気に謳歌してい…

「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」

東陽一監督というのは、役者を使うのが上手で、 「サード」での永島敏行、 「もう頬づえはつかない」の桃井かおり、 ふたりの演技は特筆ものだった。この二作品はもう30年以上も前の映画。 ということは、監督は、もう76歳。今回もまた、主演の浅野忠信と永…

”平成の三之助”十二月興業

歌舞伎界の次代を担う”平成の三之助”といわれた海老蔵(新之助)、菊之助、松緑(辰之助)今月この3人海老蔵は、舞台外で「恥辱手本酔醒蔵」(はじでほんよいざめぐら)の顔見世失態興行を演じたが、菊之助、松緑は、日生劇場の「十二月大歌舞伎」で大活躍…

アニメの映画遺産は、ルパンとミッキー

「キネマ旬報」創刊90周年記念出版の第4弾。「オールタイム・ベスト 映画遺産 アニメーション篇」で、"心に沁みるアニメ映画"ランキングが発表された。日本映画は1位「ルパン三世 カリオストロの城」2位「風の谷のナウシカ」3位「となりのトトロ」トップ…

「レオニー」

”天才彫刻家イサム・ノグチの原点ー 母、レオニー・ギルモアの波乱にみちた生涯”時間をかけて丁寧に作られ映画である。深刻な内容にもかかわらず、画面は美しく、音楽も素晴らしいので、心地よく画面に釘ずけ。あまり期待せず観たが、心に響く佳作だ。監督・…

「蓮如とその母」

今年8月に逝去した人形美術家の川本喜八郎。彼の人形アニメ全17作品を一挙上映する「執心と悟り 川本喜八郎の仕事」が、東京・ラピュタ阿佐ヶ谷で開かれている。長編映画で唯一未見だった「蓮如とその母」(81年)を観に行ってきた。蓮如の半生を描く。こ…

秋日和

「怪盗グルーの月泥棒 3D」

またしても、3D映画なのだ。 ちょっと”ひつこい”ぞ!、と言われそうだが、私の名前が”ひっちこいっく”だから許してください。 落ち目の怪盗グルーが、宿敵ベクターを出し抜こうと、なんと月を盗むという大計画。孤児院育ちの3姉妹と過ごすうちに、グルーは…

雲流る <長崎・孔子廟にて>

「ナイト&デイ」

「ナイト&デイ」は、これだけでは、味もそっけもない「邦題」だ。"NIGHT AND DAY"といえば、私の年代では、コール・ポーターを描いた映画(邦題「夜も昼も」)とその名曲を連想する。”いつも、一緒に・・”という愛のスタンダード・ナンバーだ。ロイ(トム・…

「ガフールの伝説 3D」

"風を感じるリアル3D 伝説の勇者になるために選ばれた、 若きフクロウたちの冒険を、 雄大で壮美な3D映像で描く ファンタジーアドベンチヤー超大作”またしても3D映画である。先日の「Xpan-D」方式メガネに懲りて、お口直しに、いつもの映画館に3Dメガネ…

「THE LAST MESSAGE 海猿 3D」

3D映画は、今年だけでも10本目の鑑賞。毎月観ている計算に!今回はいつもの劇場と違う劇場で観たが、これが大失敗。3D映画上映システムは5つの方式があるそうだが、今回は全国で最も普及しているという「Xpan-D」方式だった。メガネは重く、何回かメ…

日本アニメの原型 「江戸写し絵」

今日、国立劇場小劇場で、「芝居と語り芸ー庶民の娯楽」を鑑賞。日本が誇る伝統芸能の奥深さをあらためて見直した。”江戸時代の庶民の最高の娯楽は、歌舞伎。そして時を経る中で、車人形や幻灯器を用いた写し絵、さらに映像が動く映画など、娯楽としての芝居…

「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」

昨年の「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位に輝いた世界的ベストセラーの映画化。 壮大な3部作である。シリーズ「1」をWOWOWで鑑賞し、あまりの面白さに、「2」は小説で読んだ。続いて「3」を読もうとしていたところ映画が公開された。もう待ちきれず…

「十三人の刺客」

大学受験予備校生だったときに観た工藤栄一監督の「十三人の刺客」には驚嘆した。30分に及ぶクライマックスの大殺陣は大迫力で、今でも伝説の映画。続く「大殺陣」や「忍者狩り」など、無名の者たちの壮絶な死闘を描いた東映時代劇は、”集団時代劇”と呼ばれ…

「悪人」

映画には、独身の男女4人が登場する。職業は、・保険会社勤務のOL・紳士服量販店勤務の女性・裕福な男子大学生・解体作業員の男人間を職業や外見で判断してはならないはずなのだが、新聞には氏名と共に書かれる職業名。”悪人は誰か?”と、問われて、世間は…

「バイオハザードIV アフターライフ 3D」

映画バイオハザードシリーズは、4作目ということだが、私は前作をひとつも観ていないし、もとよりゲーム版も知らない。だが、「バイオハザードIV」の3D映画予告編は、すごい迫力だった。手裏剣やら大きな斧が画面から飛んできた。これでもう3Dだからとい…

「キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争 3D」

2時間時間をつぶさなければならなかったので観たのがこの映画。3D映画は、今年8本目。ほんとに3D好きなのだが、ペットわんちゃんも大好きだから、肩のこらない娯楽作はピッタリの時間つぶし。イヌの秘密組織のエージェントにスカウトされた警察犬が、…

「瞳の奥の秘密」

珍しいアルゼンチンの映画。アルゼンチンといえば、ペロン大統領夫人をマドンナ、チェ・ゲバラをアントニオ・バンデラスが演じ、戦後の政治情勢をも織り込んだミュージカル映画「エビータ」が浮かぶ。エビータの死後、ペロン大統領の後妻が女性大統領となる…

川本喜八郎さんを偲んで

”日本を代表する人形アニメーション作家で、NHK人形劇「三国志」などを手掛けた人形美術家の川本喜八郎が亡くなった。”私は川本喜八郎の作る人形映画の大ファン。日本の伝統美を追求し、今昔物語(「鬼」)や能(「道成寺」「火宅」)を題材にしながら独…

「ベスト・キッド」

”最高の師匠がくれたものー それは、逃げずに立ち向かう勇気。 あの伝説が北京で甦る!” もう四半世紀も経ったかとは思えないほど良く覚えている映画「ベスト・キッド」のリメイク。オリジナル版は原題が「The Karate Kid」というように ”空手”をとおして少…

海老蔵・勘太郎の歌舞伎「東海道四谷怪談」

「東海道四谷怪談」といえば、夏は怪談映画が定番だった頃の新東宝映画(1959年)がすぐ浮かぶ。「色悪(いろあく)」とよばれる民谷伊右衛門の役柄を天知茂が、ニヒルに演じ、中川信夫監督が鶴屋南北の歌舞伎世界を描ききった傑作だ。八月花形歌舞伎(新橋演…

「ヒックとドラゴン 3D版」

米アニメ界で、「トイ・ストーリー」のディズニー/ピクサーと対抗勢力である「シュレック」のドリームワークス最新作。これが、「トイ・ストーリー3」に劣らぬ傑作なのだ。3Dがすごい。今年7本目の3D映画鑑賞だが、3Dの魅力満載で、あの宮崎駿も真っ…

「借りぐらしのアリエッティ」

スタジオジブリの新作アニメは、宮崎駿脚本で若手・米林宏昌の初監督作品。少女の冒険と成長、自然保護というテーマといい、CGとは一線を画すやわらかな絵など、この新作でもスタジオジブリの魅力が満載。同じくヒット中の「トイ・ストーリー3」のような…

奈良元興寺にて

「インセプション」

クリストファー・ノーランは、私が大好きな監督。何が”すごい”かというと、記憶、夢、人間心理を映画でしか表現できない映像でみせることだ。監督最初の注目作「メメント」では、繰り返される記憶障害を、続く「インソムニア」では、睡眠障害の警部と犯人の…

「トイ・ストーリー3 3D版」

人形のアニメ・キャラと、”これがフルCGか!”と、衝撃を受けたシリーズ第1作。シリーズ第2作は、ストーリーの素晴らしさで、涙が出た。第1作を上回る出来に、脱帽した。前2作以上のものは期待できないと思って観た今回の第3作目は、前2作同様かあるいはそれ…