映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

2016-01-01から1年間の記事一覧

2016年のベスト映画10本

今年最大の話題は、興行収入200億円を超え邦画歴代2位に浮上し、今も記録更新中の「君の名は。」 最後まで予想できないストーリー展開、光と影、空や雲をとらえた風景描写がアニメならではの新海誠ワールド全開の傑作。 10年近く前の作品「秒速5センチメート…

歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」 今月の主役は加古川本蔵

国立劇場・歌舞伎公演「仮名手本忠臣蔵・第3部」を観てきた。 3か月連続での”完全通し”狂言で、12月は、全十一段のうち、八段目(道行)から十一段目(討入り)までの上演。今月「第3部」のキーパーソンは、九段目(山科閑居)の「加古川本蔵」である。桃…

「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」

伝説の音痴ソプラノ歌手の実話を、メリル・ストリープ&ヒュー・グラント共演で描く。音痴なのにカーネギーホールでのリサイタルを可能にしたのは、彼女の音楽に対する情熱、フローレンスの莫大な財産があっただけではない。 夫シンクレアの献身的な支えがあ…

「この世界の片隅に」

こうの史代(ふみよ)のコミック代表作「夕凪の街 桜の国」に感動した。。 原爆投下後の広島という物語の背景は悲惨であっても、日常生活の描写のなかで、たくましく幸せに生きてきた人々を淡々とした語り口で描ききっていた。こうの史代原作のコミック「こ…

歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」 おかる勘平が主役なのは何故か?

国立劇場・歌舞伎公演「仮名手本忠臣蔵・第2部」を観てきた。 3か月連続での”完全通し”狂言で、今月は2か月目。11:00開演で16:15終演なので、今月も5時間15分(休憩を含む)。 全十一段のうち、道行から五段目、六段目、七段目の上演で、 すべて”おかる…

「インフェルノ」

ダン・ブラウンのミステリー小説を映画化した「ダ・ヴィンチ・コード」「天使と悪魔」に続く“ロバート・ラングドン“シリーズの第3弾。 主演をトム・ハンクス、監督をロン・ハワードが続投。 前2作とも、小説も映画も面白かった。今作は小説は未読。名画と謎…

東京都写真美術館「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展

瀬戸内海の直島で、杉本博司の写真作品「海景」と瀬戸内海を見ながらの夕食、島に造った護王神社の建築作品に魅せられて以来、最も好きなアート作家。「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展を観てきました。1.「今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれな…

「永い言い訳」

妻を失っても涙を流せない流行作家が、他者との交流で知る”違う自分”。「蛇イチゴ」「ゆれる」「ディア・ドクター」など真偽とか善悪とかの狭間で生きる人間を深い洞察力で見つめる女性監督・西川美和の最新作。 監督作全作オリジナル脚本であるが、この自作…

国立劇場10月歌舞伎公演「仮名手本忠臣蔵」

国立劇場の開場50周年記念・10月歌舞伎公演は、 ”待ってました!” 通し狂言「仮名手本忠臣蔵」。ただの通し狂言ではない。 今月から3か月連続で、上演可能な場面をすべて網羅した”完全通し”狂言なのだ。 その「第1部」の今月は、全十一段のうち大序から四段…

「ハドソン川の奇跡」

2009年マンハッタン上空で制御不能となった飛行機をハドソン川に不時着させ、乗客全員の命を救った航空機事故。 日本でも大きく報道されたので誰もが知っているのだが、前代未聞の決断行為だっただけに機長が糾弾されたということを、この映画を観るまで知ら…

あいちトリエンナーレ(3)

名古屋、岡崎、豊橋の3都市で開催されている現代アートの祭典「あいちトリエンナーレ2016」。 アートの旅3日目最終日は、名古屋から名鉄で東岡崎へ。 徳川家康の生誕地で宿場町として栄えた歴史の町、岡崎。 二藤建人「反転の山」 昭和中頃の雰囲気を色濃く…

あいちトリエンナーレ(2)

アートの旅2日目は、名古屋市中心街の栄→広小路→長者町→白川公園までを徒歩で巡る。 田島秀彦「6つの余地と交換可能な風景」 メイン会場の愛知芸術文化センター11F展望回廊から見えるテレビ塔風景もアートに取り込められる。 会場を見てから作品を創る現場…

あいちトリエンナーレ(1)

名古屋、岡崎、豊橋の3都市で開催されている現代アートの祭典「あいちトリエンナーレ2016」。 2泊3日アートを巡る旅。 第1日目は、新幹線ひかりで豊橋へ。 大巻真嗣「太陽と壺」 壺の中に太陽?自然光の具合でも変化して壺に呑まれそう。 頭の中は一瞬真っ…

国立劇場9月文楽公演「一谷嫩軍記」

国立劇場開場50周年を記念する文楽公演の第一弾は、通し狂言「一谷嫩軍記」。 その前半の第一部を聴いてきた(文楽は”見る”といわず、”聴く”という)。源平合戦の時代を生き抜いた武将たちの熱い想いが描かれた親と子の物語。 文楽・歌舞伎では最も有名な最…

「君の名は。」

アニメ界の”印象派”新海誠監督の約3年ぶり最新長編アニメ。 若いふたりの”すれ違い”恋愛もの。だからタイトル名は偉大なる古典「君の名は」から。監督独自の”光の映像世界”を100%味わうためには、画面真正面から画面全体をくまなく補足できる位置ということ…

「ジャングル・ブック」2D吹替版

主人公の少年以外はすべてデジタルで描かれ、その壮大な映像がネット仲間で評判が良いので観に行く。 3D・2D・IMAX3D・4Dという4方式上映なのだが、近所にあるシネコンでは、3D上映が朝8時台の1回だけ。あとはすべて2D(しかも吹替版)だけ。 毎朝ワンち…

度肝を抜かれた映画10本

「シン・ゴジラ」を観ていて昔の記憶が蘇った。 ハラハラ、ドキドキ、びっくり仰天、”映画は見世物”という記憶が。 そこで、”こんな映画初めて観た!”「度肝を抜かれた映画」マイベスト10本。 鑑賞日順です。 度肝は幼少期ほど小さいので、幼少期ほどすぐに…

「シン・ゴジラ」

満員の映画館で観た「ゴジラ」第1作。 小学生の私は映画の世界に完璧に魅了されてしまった。 あれから、もう60年以上も経過したというのだが、その日本映画のスーパースター「ゴジラ」が新しく蘇ってきた。東京湾に突然出現した「巨大不明生物」。 「想定外…

「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」

ハリウッドの歴史に大きな汚点を残した赤狩り(レッドパージ)。 赤狩りが、どのように仕組まれ、映画人がどのような苦難を強いられ、いかに戦ったかを正面から描いた映画はロバート・デ・ニーロ主演の「真実の瞬間」が名を残す。1947年、アメリカ国会下院非…

「クリーピー 偽りの隣人」

タイトルの“クリーピー(creepy)”とは「ゾッとするような」という意味だそうだ。そして副題に”偽りの隣人”とあるので、これだけで”怪しい隣人が怖いというサスペンス・スリラー映画”だとわかる。 この副題がなければ、ちょっと変わった隣人が、だんだんと正…

「FAKE」

舛添都知事の追及報道にあきれた。お祭り騒ぎ。 マスコミは正義感ぶって、ここぞとばかり辞任するまで一斉たたきまくる。同じような騒動が過去にもあった。 この映画「FAKE」は、ゴーストライター騒動で、話題になった作曲家・佐村河内守にスポットを当てた…

ミュージカル舞台「Tell Me on a Sunday〜サヨナラは日曜日に〜」

ミュージカル界の歌姫・濱田めぐみ芸能活動20周年記念の舞台。 濱田めぐみは、「美女と野獣」ヒロイン・ベル役で劇団四季デビュー。 そして「アイーダ」と「ウィキッド」での抜群の歌唱力に魅了されてファンになった。Wキャストの劇団四季公演では、当日…

「海よりもまだ深く」

台風でひさびさに一夜を一緒に過ごすことになった家族。 団地で気ままな独り暮らしをしている母(樹木希林)。 15年前に文学賞を一度獲った売れない作家の長男(阿部寛)。 そんなダメ男に愛想を尽かして離婚した元嫁(真木よう子)。 長男のダメ男ぶりをみ…

「殿、利息でござる!」

予告編を観たとき、殿様に銭を貸してその利息で町を救う・・なんて馬鹿な話だと思っていたら、予告編の最後には、「実は実話じゃった。」とオチ。 あまり観たいとも思わなかったのだが、邦画では珍しい新聞の全面広告を読んでみると、確かに面白そう! ぴあ…

「レヴェナント:蘇えりし者」

狩猟中に熊に襲われて瀕死の重傷を負ったハンター(レオナルド・ディカプリオ)が、自分を荒野に置き去りにした仲間に復讐するため壮絶なサバイバルを繰り広げるさまを描く。主演のディカプリオが、厳しい自然のなかでまさに命がけの過酷な役柄を見事に演じ…

「スポットライト 世紀のスクープ」

2002年アメリカの地方新聞記者たちがカトリック教会のスキャンダルを追い続けていく姿を描く実話。 地に足がついた裏付け調査過程を淡々と描く。今年度のアカデミー賞の作品賞と脚本賞を受賞ということで観に行く。 作品賞選定は会員全員の投票によるものだ…

「ルーム」

見知らぬ男に突然誘拐され、7年間監禁され続けた女性ジョイ。 その監禁部屋で生まれ、外の世界を知らないまま5歳になったジャック。アイルランド出身の作家エマ・ドナヒューのベストセラー小説「部屋」の映画化。 小説は未読だが、上巻「インサイド」、下巻…

「あやしい彼女」

見た目は20歳!中身は73歳!韓国のヒット映画「怪しい彼女」を、「謝罪の王様」「舞妓Haaaan!!!」の水田伸生監督がリメイク。 宣伝用ポスターも、韓国版と同じようなので、完全リメイクと思っていたが、肝である音楽が「日本版」ならではの展開になっていて…

「家族はつらいよ」

山田洋次監督「男はつらいよ」シリーズ最終作「寅次郎紅の花」から20年ぶりの本格的喜劇。 いや〜あれから、もう20年も経つのか!監督最新作は、「東京家族」のキャスト8人が全員再集結して、別の家族を演じている。 主役の橋爪功をはじめ、全員息があって…

「X-ミッション」3D字幕版

予告編では、”10年に1本の アクション映画”と謳っていたが、確かに、凄い、面白い。 3D映画の醍醐味を満喫した。 にもかかわらず、平日の劇場の観客は6人しかいないぞ。 何故?有名俳優が出ていないから?キアヌ・リーヴス主演のアクション名作「ハート…