映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「天国からのエール」

沖縄で小さな弁当屋を営むかたわら、無料の音楽スタジオを作り、夢を持つ高校生を応援した仲宗根陽の実話を映画化。

犬童一心監督作「ゼロの焦点」などでチーフ助監督をつとめた熊澤誓人の長編初監督作品。

お涙頂戴の難病モノには描いていないし、ラストの見せ場ロックフェスタも過剰に盛り上げて描くことなく、監督の仲宗根陽に捧げる純粋な気持ちが伝わってきた。
沖縄に長期ロケをしていても沖縄観光的なカットはひとつもない。
初監督という気負いがないように感じ、素直にテーマに共感できた。

バンドの練習場所がなく愚痴をこぼす高校生たちに阿部寛が「簡単に夢を諦めるな」と言ってはみるが、「自由に演奏できない社会にしたのはあんたたち大人じゃないか」と反発される場面には、ドキリ。
昔は、他人から教わり、いろいろなことをしてもらった、という大人の思い。
「他人のために何かできること」を、震災にダブらせた。

社会生活の基本のキ「挨拶」など現代社会で若者に教えるべきことも、観客には自然と受け入れられそうで、その意味では中学・高校での映画教室で観せたい映画だ。