瀬戸内海の直島で、杉本博司の写真作品「海景」と瀬戸内海を見ながらの夕食、島に造った護王神社の建築作品に魅せられて以来、最も好きなアート作家。
「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展を観てきました。
1.「今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない」
というタイトルの3階全フロアを使ってのインスタレーション展示は、骨董品や古美術収集家でもある作家自身の「物」も置かれて、かつてあった証拠物が現在に語りかけてくる。
初めて見る”臨時召集令状(赤紙)”の衝撃。
”宇宙便器”の奇妙なアンバランス。・・等々
2.「廃墟劇場」シリーズ展示(右上図写真)では、
廃墟となったアメリカ各地の劇場を訪れて、作家お気に入りの映画を実際に上映してフィルムを露光し、その結果真っ白になったスクリーンと劇場内部を撮影するという途方もない作業。
「羅生門」「ゴジラ」「渚にて」「博士の異常な愛情」など、上映時間分の時間の経過を考えて見えてくる不思議な感覚。
3.「仏の海」展示は、
京都三十三間堂の千手観音を早朝の自然光のみで撮影し、十年の歳月をかけたという写真作品。
この世の終わりに生まれた末法思想の世界に引き込まれる。
”諸行無常の響きあり”
”文明の終わり”というテーマでの、壮大な個展。
美術館リニューアル・オープン記念にふさわしい展覧会を観ての帰り本場エビスビールが実に美味しかった。
11月13日まで、東京・恵比寿の東京都写真美術館で開催中。