映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「海よりもまだ深く」

台風でひさびさに一夜を一緒に過ごすことになった家族。
団地で気ままな独り暮らしをしている母(樹木希林)。
15年前に文学賞を一度獲った売れない作家の長男(阿部寛)。
そんなダメ男に愛想を尽かして離婚した元嫁(真木よう子)。
長男のダメ男ぶりをみてきた姉(小林聡美)。

この4人の達者な役者が実に見事で、繰り出す会話に引き込まれる。
ユーモアもたっぷりだから劇場では終始観客の笑い声が。
とにかく、樹木希林の自然な演技には脱帽だ。

ダメな息子ほど可愛いとはよく言ったものだ。それでも長男の良さもさらりと描いて是枝裕和監督ならではの絶妙な味わい。
みんながなりたかった大人になれるわけじゃないかもしれないが、そう悪い人生でもないよといった優しい視線が心に残る。
樹木希林阿部寛の親子が絶妙だった「歩いても 歩いても」を彷彿とさせる家族映画。