映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「FAKE」

舛添都知事の追及報道にあきれた。お祭り騒ぎ。
マスコミは正義感ぶって、ここぞとばかり辞任するまで一斉たたきまくる。

同じような騒動が過去にもあった。
この映画「FAKE」は、ゴーストライター騒動で、話題になった作曲家・佐村河内守にスポットを当てたドキュメンタリー。
話題性十分、その後どうしているのか興味も尽きない。

彼の自宅でカメラを回し、彼と話し続けるのは、オウム真理教の真相に迫った「A」(未見です)の森達也監督。

監督は、彼の家で妻の手話を介して語り、追及をやめないTV局を彼と待ち受ける。取材の逆転をそのままカメラが記録していく。
アメリカの雑誌記者の質問は鋭く、とても興味本位の日本のマスコミの姿勢とは違うことを体感できる。
暴露して一躍有名人となった新垣氏へのサイン会突撃も面白い。
その場で新垣氏本人は後日正式取材を約束していたのに、取材を断ってきたのは、何故か?真実は?
最初に告発した週刊文春の記者も、取材を断ってくる。
マスコミの義務放棄。それとも?
関係者が取材に断っていることもあり、真実が見えてこない。

この映画、真実を追うだけの映画ではない。
献身的にもみえる妻、夫婦愛、キーボードを購入して新たな挑戦をする彼の姿に、感動してしまう。

エンドクレジット後に監督が尋ねる質問に、彼は・・
ラストカットに観客は様々な解釈を迫られ、沈思する。
ドキュメンタリー映画のひとつの方向がみえる傑作。

彼の自宅に住む愛猫が、絶妙なとりあわせ。右の宣伝用チラシにも登場。
推理小説の登竜門・江戸川乱歩賞第1回小説受賞作の題名を思い出す。
彼が本当はどんな人物なのか、「猫は知っていた」。