映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「永い言い訳」

妻を失っても涙を流せない流行作家が、他者との交流で知る”違う自分”。

蛇イチゴ」「ゆれる」「ディア・ドクター」など真偽とか善悪とかの狭間で生きる人間を深い洞察力で見つめる女性監督・西川美和の最新作。
監督作全作オリジナル脚本であるが、この自作の小説は直木賞候補となった。

主人公の作家を演じるのは本木雅弘。もがき苦しむダメ男ぶりと違う自分を滑稽に演じている。
その対極にある真正直人間・トラック運転手を演じる竹原ピストルとその子供たちの演技に脱帽。
子役も含めて登場人物たちの心の奥底まで深くえぐり描いていくのが西川監督の本領であり力量だ。

突然の交通事故で失った大切なひと。残された家族。
震災にも通じる普遍的な「家族」の大切さに、じわり心うたれた。

今年は日本映画豊作の年。そのなかでも屈指の作品。