国立劇場・歌舞伎公演「仮名手本忠臣蔵・第2部」を観てきた。
3か月連続での”完全通し”狂言で、今月は2か月目。
11:00開演で16:15終演なので、今月も5時間15分(休憩を含む)。
全十一段のうち、道行から五段目、六段目、七段目の上演で、
すべて”おかる勘平”が主役。
腰元”おかる”と密会していたため、主人判官刃傷の一大事に居合わせることができなかった判官の家来”勘平”。
なんとか主人の仇討ちに加わりたい一心の勘平。
おかると勘平はおかるの故郷山崎へと落ちていく(道行)。
写真は、おかる・尾上菊之助と勘平・中村錦之助。
猟師になった勘平は、暗闇のなか猪と間違え人間を撃ち殺してしまう(五段目)。
勘平は切腹。だが結果的には殺された舅の仇討ちを果たし、主人判官仇討ちの連判状に血判を許される(六段目)。
大星由良之助の計らいで、おかるも勘平の仇討ちができて、
おかるの兄平右衛門も四十七士に加わることができた(七段目)。
そう、”おかる勘平”物語は、勘平の切腹と夫婦の仇討ちの物語であり、もうひとつの忠臣蔵。
四十七士各人の物語は語らずに、討入りに参加しなかった下級武士である勘平によって参加した浪士たちを代表させたのである。
観客にとって身近な人物”おかる勘平”に、観客は同情し共感し涙する。
”おかる勘平”物語があるからこそ、「仮名手本忠臣蔵」が傑作といわれ、最も人気のある演目となったのだろう。
今月の舞台を観ていて、それが納得できた。
来月12月は討入りまでの最終「第3部」。
今から楽しみにしている。