映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「十三人の刺客」


大学受験予備校生だったときに観た工藤栄一監督の「十三人の刺客」には驚嘆した。
30分に及ぶクライマックスの大殺陣は大迫力で、今でも伝説の映画。
続く「大殺陣」や「忍者狩り」など、無名の者たちの壮絶な死闘を描いた東映時代劇は、”集団時代劇”と呼ばれ評価を得たが興業は失敗、東映は時代劇から撤退し任侠映画に転身する。

 

原作は、池上金男のオリジナル脚本。
彼も、東映時代劇撤退の後、テレビ「必殺仕掛人
(シリーズ第1作は深作欣二監督、池上金男脚本)で活躍する。

 

こんなことを書いていたら、この映画はテレビ「必殺シリーズ」を思い起こす。
”この世に生かしておいても世のため人のためにならない奴”である主君の暴政に切腹で訴える家老他の”晴らせぬ恨みを”、13人が”晴らす”。

”人知れず、仕掛けて、仕損じなし。”

 

池上金男は後に池宮彰一郎の名前で小説家に転じ、小説「四十七人の刺客」でブレイクしたが、この小説の題名も連想させる。

 

さて、三池崇史監督によるリメイク版映画のほうも、クライマックスは、すさまじく、オリジナル作品に負けぬ大迫力だ。

オープンセットを縦横に生かした大殺陣、久々の松方弘樹は、水を得た魚のよう。

役所広司山田孝之古田新太(彼が参加するとき金銭を要求するのも、やはり仕掛人と同じようだ)など刺客たちそれぞれ役者が熱意を強烈に発散していて迫力十分。
オリジナルにない人物である伊勢谷友介は、唯一武士でなく、まるで「七人の侍」の菊千代(三船敏郎)キャラのパクリだが、単調さを消す味付けとして成功していた。

 

面白い。最後まで飽きることなく画面に釘づけ。
時代劇の再ブームを予感させるスタッフ&キャストの意気込みに呑みこまれた。