映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

なつかしの映画

ビリー・ワイルダー監督第3作「深夜の告白」

「深夜の告白」(1944)は、映画の新たなスタイル=フィルム・ノワールの古典である。 原題の”DoubleIndemnity”は「倍額保障」という保険用語。倍額となる保険金を目当てに殺人を犯す男女の物語。 映画は負傷状態で深夜オフィスに入ってきた保険会社の敏腕外…

ビリー・ワイルダー監督第2作「熱砂の秘密」

ハリウッドでの監督第1作「少佐と少女」でビリー・ワイルダー監督が選んだテーマはコメディー。次の監督第2作「熱砂の秘密」(1943)でのテーマは、作風を変えてスパイ・サスペンスドラマ。この2作によってワイルダー監督の異なる二つの個性が露わとなる。『…

ビリー・ワイルダー監督第1作「少佐と少女」

ヒッチコックとともに大好きな映画監督ビリー・ワイルダー。 ハリウッドでの監督作全25本のうち、これまで観ていない作品は監督第1作の「少佐と少女」(1942年 日本未公開)の1本だけだった。が、なんとAmazonプライムビデオで観ることができた。感激! 監督…

「シネラマ・ホリデー」(1955年)

1950年代、テレビの脅威に対抗して映画界は超大型画面を誕生させた。その一つが、「シネラマ」。 シネラマは、3本レンズの専用カメラを使い撮影し、映画館では、3台の専用映写機で超大型湾曲スクリーンに映写する新技法。 私は1960年に東京日比谷の帝国劇場…

「ローマの休日」

今週11日にNHKBSプレミアムで放映予定。オードリー・ヘプバーン魅力満載の本格デビュー作。 少女は王女で、心も身体も”大人の女”になるという成長物語。しかも丸一日という短時間で変身できたのは、新聞記者との恋愛。当時の映画はベッドシーンはNG。そこで…

松竹映画の100年

2020年に映画製作100周年を迎えた松竹。 「松竹映画」といえば、私には木下恵介監督と小津安二郎監督ふたりの作品がまず浮かぶ。 映画が最大の娯楽で毎年100本以上の映画を観ていた中学生時代に、木下恵介監督の「喜びも悲しみも幾歳月」を公開時に観て感動…

2020 ベスト映画10本

コロナ禍で、もっぱら自宅でWOWOWやAmazonPrimeVideoでの鑑賞が多かった1年。今年観た映画は226本。古い映画再発見の1年でもあった。なんとか選んだ今年新作映画のベストテン。 第1位「パラサイト 半地下の家族」ポン・ジュノ監督映画の持つあらゆる要素…

清純派の人気女優・芦川いづみ

日活黄金時代を代表する女優、芦川いづみ。オールドファンには、なつかしいひと。その清純な美しさで、和製オードリー・ヘプバーンとも言われて。 代表作は、川島雄三監督「洲崎パラダイス赤信号」「幕末太陽傳」田坂具隆監督「乳母車」「陽のあたる坂道」熊…

「男はつらいよ」4Kデジタル修復版

27年間で48作。世界最長の映画シリーズとしてギネス認定。国民的映画となった「男はつらいよ」シリーズ。 その誕生50周年プロジェクトによって2年をかけて完成した「4Kデジタル修復版」が、BSテレビ東京で毎週土曜日に放映中である。 この機会にと、第1作目…

日活映画黄金時代の美女たち

日本映画の黄金時代、あこがれの女優は吉永小百合さん。私と同年代で、高校生時代に主役だった映画「ガラスの中の少女」「キューポラのある街」や「若い人」など彼女のセーラー服姿が同じ高校生当時まぶしかった。 コロナ禍の影響で自宅にいることが多いので…

「日本沈没」1973年版

私が大学生のころ、「SF御三家」と呼ばれた小松左京・星新一・筒井康隆に夢中だった。兄が購読していた雑誌「SFマガジン」は長く愛読雑誌だった。特に小松左京は、64年長編第1作の「日本アパッチ族」からファンになり、「復活の日」「エスパイ」「果しな…

何度も繰り返し観てしまう映画

DVDやBDが普及しWOWOW録画が可能になってから、同じ映画を何回も観ることがある。どうして何回も観てしまうのだろうか? これまで10回以上観ている映画は、「駅馬車」1939年 ジョン・フォード監督「裏窓」 1954年 アルフレッド・ヒッチコック監督「彼岸花」1…

新型コロナウイルスのおかげで

2月上旬に「スターウオーズ9」を観てから、1か月以上も映画館に行っていない。外出も少なくなり、もっぱら自宅で、WOWOWや映画専門チャンネルでの録画しておいた映画や所有しているDVDを毎日のように観ている。 おかげで、次々と旧作名画との再会です。あこ…

小津安二郎監督「麦秋」

立秋を過ぎる頃になると、小津安二郎監督の映画が観たくなる。 そこで「麦秋」「彼岸花」「小早川家の秋」の3本を鑑賞。これまで繰り返し観ている監督作品はヒッチコック監督なのだが、年齢を重ねると小津監督のほうが多くなっている。「麦秋」は、NHK・BS…

橋本忍さんを偲ぶ

脚本家・橋本忍さんが死去した。100歳。今から50数年前に、縁あって東京世田谷にある自宅を訪問する機会があった。 驚いたのは蔵書の多さ。中でも目を引いたのは、「ハヤカワ・ポケット・ミステリー」が廊下までずらりと並んでいたこと。 ミステリー・探偵小…

「危し! 伊達六十二万石」

CS放送(チャンネルNECO)で、懐かしの映画を観た。 伊達藩お家騒動の悪役・原田甲斐を嵐寛寿郎が演じた「危し! 伊達六十二万石」(1957)。 監督は「稲妻奉行」など新東宝時代劇で活躍した山田達雄。この映画は、歌舞伎の名作「伽羅先代萩」と同じ内容で、その…

小津監督の秋

「麦秋」「彼岸花」「秋日和」「小早川家の秋」「秋刀魚の味」と、”秋”をタイトルとした映画が多いこともあって、毎年この季節になると、むしょうに小津安二郎監督の映画が観たくなる。そこでDVDで2本鑑賞。「小早川家の秋」 つくり酒屋のご隠居(中村雁治…

戦前の日本映画

戦前に製作されたの日本映画といえば、 小津安二郎監督「生まれてはみたけれど」「浮草物語」 溝口健二監督「祇園の姉妹」「浪華悲歌」 豊田四郎監督「小島の春」 伊丹万作監督「赤西蠣太」 山中貞雄監督「人情紙風船」 などフィルムライブラリーやテレビで…

木下惠介監督初期の作品「わが恋せし乙女」と「破れ太鼓」

梅雨が明けて、連日の猛暑で、何もする気がない。 映画「はじまりのみち」で木下惠介監督の代表作名場面集を観て感激したことを思い出し初期の木下監督作品DVDを借りにTUTAYAへ探しに行ったが、初期の作品は置いていなかった。 そこで、いつもi-podの音楽ダ…

「タイタニック 3D」

3回目の劇場鑑賞。 今回は「3D版」。スーパーインポーズでセリフを読んでいると3D画面に集中しにくいので、あえて「日本語吹替え版」を選択。 いつもの「軽量クリップオン型3Dメガネ」持参。 3時間15分の長さだし、途中休憩もないので、水分を取らずに、い…

山田洋次が選ぶ日本映画100選 「二十四の瞳」

今週から「山田洋次が選ぶ日本映画100選」がNHKBSで始まった。最初が「東京物語」(小津安二郎監督 1953年)、次が「二十四の瞳」(木下恵介監督 1954年)。この日本映画の傑作2本が、”デジタル・リマスター版”での放映なので嬉しい。「二十四の瞳」を観た…

原節子 15歳の“幻”映像「生命の冠」

月刊誌「新潮45」3月号付録のDVDで観た。 原節子が映画デビュー翌年(昭和11年)に15歳で出演した映画で、北方領土・国後島でロケが行われた映画。こんな作品が残っていたことを始めて知った。原節子15歳の姿は、この映画の前に出演した映画「河内山宗…

アニメの映画遺産は、ルパンとミッキー

「キネマ旬報」創刊90周年記念出版の第4弾。「オールタイム・ベスト 映画遺産 アニメーション篇」で、"心に沁みるアニメ映画"ランキングが発表された。日本映画は1位「ルパン三世 カリオストロの城」2位「風の谷のナウシカ」3位「となりのトトロ」トップ…

心に残る映画音楽ベスト・テン

映画音楽といえば、1950年代後半の小学生から中学生のころ、ラジオで映画音楽視聴者ベストテン番組を聴いていたころを思い出す。当時ベストテン第1位は、いつも「エデンの東」(55年)だった。だから、私のなかでは、映画音楽=「エデンの東」。いつベスト1…

インターミッション

3時間22分の大作映画「沈まぬ太陽」には、途中10分間の休憩があった。この休憩時間は、私はトイレに急行した。「沈まぬ太陽」では、映画フィルム1巻分(10分)を使ってテーマ音楽が流れていた。日航機事故の遺族であるバイオリニストのダイアナ湯川さんが…

原題とは異なる邦題の名作映画ベスト5

洋画の「邦題」について思うのは、昔の名画は味わいのあるものが多かった。「わが谷は緑なりき」「お熱いのがお好き」「太陽がいっぱい」「アパートの鍵貸します」「北北西に進路を取れ!」などは原題を生かして映画の内容をずばり示した名邦題だ。原題とは…

「エターナル・サンシャイン」

「僕らのミライへ逆回転」のミシェル・ゴンドリー監督の代表作「エターナル・サンシャイン」(2004年)がNHKBS2で放映された。この映画、まったくの予備知識がないまま観たので、もうびっくり。映画でしか表現できない世界に、酔った。まいった。話はこ…

「白い馬」

”出会えてよかった。 人生にそう思えることがいくつあるだろう。”デジタル・リマスター版で半世紀ぶりに映画館で公開されたアルベール・ラモリス監督作品「赤い風船」と「白い馬」。冒頭の今回上映用キャッチコピーどおり、私にも、ほんとうに出会えてよかっ…

「赤い風船」

この映画「赤い風船」は、私の宝物。小学校6年の夏、日比谷有楽座のロードショーで、「沈黙の世界」との2本立で観た。たった36分のフランス短編映画であるが、映画が”詩”であることを初めて体感した。感動に震えた。劇場で52年ぶりの再会だ。今回上映…

ニュー・シネマ・パラダイス

映画を愛する者にとって忘れられぬ名作。 歴代ミニシアター興行成績第1位。 今年「題名のない子守唄」でいまだに健在ぶりを示したジュッゼッペ・トルナトーレ監督の代表作。 といえば、もちろんイタリア映画 「ニュー・シネマ・パラダイス」(88年)。 今月…