映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「レオニー」

”天才彫刻家イサム・ノグチの原点ー
   母、レオニー・ギルモアの波乱にみちた生涯”

時間をかけて丁寧に作られ映画である。
深刻な内容にもかかわらず、画面は美しく、音楽も素晴らしいので、心地よく画面に釘ずけ。
あまり期待せず観たが、心に響く佳作だ。

監督・脚本・制作は、50才で監督デビューし3作目の松井久子。

日本で過ごす母レオニーの子育て時代には、イサムの芸術家への下地も描かれているが、茶道・剣道の心、大工の匠、和服や扇子、富士や桜、といったシーンが、観客にも”日本の良さ”を再発見させる。

医師になるというイサムに対して、母レオニーは、「芸術家には国境がない」からと、
芸術家になるよう勧める。

母自身の国境へのわだかまりからではなく、子にその才能を見極めた姿勢に感嘆する。

日本語を喋ることができない主人公レオニーの映画だけに、全編ほとんど英語のセリフに日本語字幕。
この映画”日本映画なの”と思ってしまうが、映画にも「国境がない」ことを示してレオニーの生き様とダブっている松井監督の心意気がみてとれる力作。