映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「最後の忠臣蔵」

大好きで何回か読み直している数少ない小説のひとつが、池宮彰一郎の「四十七人目の浪士」(文庫版では「最後の忠臣蔵」)だ。
映画脚本家らしく短い言葉で綴る文章が胸に迫ってくる。

小説では、”忠義”は具体的に書かれるのではなく、じわり行間に滲む。
そこに小説の良さがある。

さて、映画版は、
「真実を後世に伝え、浪士の遺族を援助せよ」との密命を受けた寺坂吉右衛門佐藤浩市)ではなく、「可留と内蔵助の隠し子を守れ」との密命を受けた瀬尾孫左衛門(役所広司)の第4話がメイン。
この話だけで2時間はきつい。当然に途中だれたり、無駄な場面が生じてしまう。

随所に出てくる文楽曽根崎心中」は、その関連性がよくわからない。
まさか心中と切腹で「愛と死」をダブらせているのでもあるまい。

見せ場である可音(桜庭ななみ)が嫁ぐ日の別れの場面は涙なくして観れない。
それだけに、お涙頂戴の映画にしてしまったのが、残念。

可音役の桜庭ななみが、 初々しい。
次回出演作の「天国からのエール」が楽しみだ。