映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

海老蔵・勘太郎の歌舞伎「東海道四谷怪談」

東海道四谷怪談」といえば、
夏は怪談映画が定番だった頃の新東宝映画(1959年)がすぐ浮かぶ。
「色悪(いろあく)」とよばれる民谷伊右衛門の役柄を天知茂が、ニヒルに演じ、中川信夫監督が鶴屋南北の歌舞伎世界を描ききった傑作だ。

八月花形歌舞伎(新橋演舞場)の第三部で、
民谷伊右衛門を話題の市川海老蔵が演じるというので、観に行ってきた。

海老蔵は、この舞台ではセリフで軽薄さを出して、従来の色悪のイメージを独自なものにして新鮮さをだしていた。

殺しの場面で残忍な笑みを浮かべるところは、さすがにスターの素質満点。
初めてお岩を演じた勘太郎も熱演。

この演目は、
「髪梳き」「戸板返し」「提灯抜け」と怨念や恐怖を効果的に見せる歌舞伎ならではの演出とトリックがあり、さらに歌舞伎独特の役者をじっくり見せる「だんまり」や「勢ぞろい」、忠臣蔵外伝として最後は雪の中での「大立ち回り」と、見どころが多い。
”これぞ、歌舞伎!”という名舞台を存分に楽しんだ。

また、今回の公演は、第一部の「義経千本桜」で、海老蔵が”宙乗り狐六法”を演じていて、歌舞伎の魅力満載しかも誰にもわかりやすい演目ばかりがそろっている。
海老蔵人気で若い女性が多く、歌舞伎ファンが増えているような気がする。
歌舞伎座が休演中でも心配ないと思わせる盛況ぶりの新橋演舞場だった。