映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

2006-01-01から1年間の記事一覧

ひらめき脳

日経新聞連載の「ぞっとする絵・十選」が終了した。 私には、その記事に共感することが多かった。 筆者は「今自分が目にしているものが、何か測りしれないものを秘めているという予感。すぐれた芸術の要諦は、実にこれではないか。」というテーマで「ぞっと…

元気が出る邦画

先日、日経流通新聞が「2006年上半期ヒット商品番付」を発表した。 映画関連では、西横綱に「ダ・ヴィンチ・コード」、前頭に「元気が出る邦画」がでている。 「我慢の時代に目立った<癒し><低価格>は後退。<もう一度、強く元気に>にといった要素が台…

インサイド・マン <あなたは、今、完全犯罪の目撃者になる!>

映画「インサイド・マン」の予告編を観たとき、これは面白そうだと直感した。 この映画の公式サイトでも観れる予告編の冒頭、クライブ・オーウエンが、語る。 「今から完全犯罪の銀行強盗を---実行する。」 そして画面は、銀行強盗場面、そして50人の人質…

ぞっとする絵

高校生時代に、一枚の絵を見て衝撃を受けた。 絵を見たとたん、くらくらと眩暈のような感覚がはしり、どきっとして、心臓の鼓動がはげしくなった。 その絵は、岸田劉生の描いた「切通しの写生」である。美術の教科書で見て、知っていたはずなのに、なにか違…

トリック劇場版2

奇術師・仲間由紀恵のボケぶりと物理学者・阿部寛とのかけあいが売りの人気テレビドラマの映画版。 監督は「明日の記憶」で好調の堤幸彦。 今回の悪役は、片平なぎさ。村をも消し去る奇跡の心霊師を演じる。 いつものパターンながら、話はテンポよく進み、仲…

私の履歴書 遠藤実

日経新聞を購読していて「私の履歴書」を読むのが楽しみのひとつだ。 今月は、作曲家の遠藤実が書いている。 今日の記事は、あこがれの歌手として初舞台の話だ。 初舞台の日、町長や後援会長他から八つの祝儀袋が楽屋に届いていたが、中は空っぽ。よく見ると…

グッドナイト&グッドラック

父親がキャスターだったという俳優ジョージ・クルーニーが共同脚本・監督をしている「グッドナイト&グッドラック」を観た。 1950年代のアメリカ、「赤狩り」マッカーシズムと対決したCBCの人気キャスター、エド・マローの闘いぶりをじっくり描いた映…

LIMIT OF LOVE 海猿

人気コミックを映画化した「海猿 ウミザル」(04年)は興行収入17億円のヒットで、続編はテレビドラマ「海猿 UMIZARU EVOLUTION」、そして今回再び映画に戻った。 その映画「LIMIT OF LOVE 海猿」(羽住英一郎監督)は、5月の連…

陰日向に咲く

劇団ひとり(これが芸名。ひとり芝居をするというが、私は未見。)が初めて書いた小説「陰日向に咲く」(幻冬舎。06.1.25刊)を読んだ。 本の帯に「33万部突破!」とある、ベストセラーだ。 【画像:38608.jpg】 連作全5話の登場人物は、ホームレスに憧れる…

柔道龍虎房 <黒澤明監督に敬意を表して>

香港のB級アクション映画「柔道龍虎房」を映画館で観てきた。 B級映画というのは、低予算で作られた娯楽映画といった意味。 たまに、こういう映画を観たくなる。会社帰りに、ビールを飲みながら観るというのが、この手の映画にぴったり。 内容は、「姿三四…

恋のダウンロードと団菊祭

【画像:38605.jpg】 5月の歌舞伎座は、病気から復帰した団十郎が元気な姿を見せる舞台で盛況だ。 団十郎と菊五郎一座が舞台を勤める団菊祭は、お祭ムードたっぷり。 夜の部を観てきた。 団菊の次代を担うふたり、海老蔵が「藤娘」、菊之助が「保名」を、そ…

「ダ・ビンチ・コード」がNHKニュースで報じられた理由は?

今日はゴルフ。昨日朝の天気予報では神奈川県は大雨とのことで、なかばあきらめていたが、まったく雨は降らず快適にゴルフを楽しんだ。 家に帰り、お酒を飲みながら7時のNHKニュースを見て、驚いた。 ニュースのトップは、秋田小1年生殺害事件であるが…

出光美術館 開館40周年

日本と中国の古美術を中心に1万点以上の所蔵品をもつ出光美術館が開館40周年を迎えた。 出光美術館は、出光本社のある東京丸の内の国際ビルの中にある。私はその国際ビル、真向かいにある新国際ビル、その隣にある新日石ビルの3つのビルに、時期もばらば…

明日の記憶

荻原浩の原作を読んで映画化は難しいのではないかと思っていたが、その懸念は吹き飛んだ。 映画「明日の記憶」(堤幸彦監督)は、なかなかの出来で、感動作である。 若年性アルツハイマー病という重いテーマだけに、お涙頂戴の映画になりかねないが、優れた…

ウイスキー

昨夜は、NHKBS2で、珍しい南米ウルグアイの映画「ウイスキー」を観た。 04年カンヌ映画祭で批評家連盟賞、東京国際映画祭グランプリを受賞し、05年度キネマ旬報ベストテン第7位という作品のいち早い放映であり、これではNHKに受信料を支払して…

荻原浩の「噂」は、衝撃のラスト一行に瞠目!

今週の土曜日から、渡辺謙主演の映画「明日の記憶」が東映系で公開される。 荻原浩の原作を読んだが、一人称形式で語られ、その語り口とラストの深い余韻がいい。この情感を映画化できるのだろうかと心配になる。 「明日の記憶」のイメージのまま、文庫本と…

「赤・黒」とクライム・サスペンス

【画像:38599.jpg】 石田衣良の連作小説である池袋ウエストパーク外伝「赤・黒」を読んだ。 カジノ売上金強奪から始まるクライム・サスペンス。 題名の「赤・黒」はルーレット。カジノで主人公が最後の大勝負に赤に全財産を賭ける物語だ。 この小説には、ク…

かもめ食堂

全編フィンランドの首都ヘルシンキで作られた日本映画 日本人は3人しか出てこないが、間違いなく日本映画 原作は、女性に人気の群ようこ 監督は、デビュー作「バーバー吉野」で才能が認められた荻上直子 3月11日シネスィッチ銀座で公開され、初日から全回…

三島由紀夫の「憂國」

JR大森駅東口にある映画館「キネカ大森」は、主に東宝系のロードショーを興行しながらも、韓国・香港などのアジア映画の特集企画を行うことで評価されている劇場だ。 そのキネカ大森で、「三島由紀夫映画祭2006」が開催されている(5月12日まで)。 昨…

ニュー・ワールド<壮大な映像叙事詩>

神々しいまでの詩的で美しい映画に出会った。傑作の誕生である。 アメリカ映画「ニュー・ワールド」を見終わったあとも、いまだに幸せな気分にひたっている。 この映画の監督は、テレンス・マリック。 彼の名を一躍伝説化した「天国の日々」(78年)から20年…

歌右衛門を偲んで

4月の歌舞伎座は、六世中村歌右衛門五年祭追善公演。 故人ゆかりの演目をそろえる。六世歌右衛門は、女形一筋に生き、華麗で情艶な芸風で昭和の歌舞伎界の第一人者。 その追善の「口上」がある夜の部を観に行ってきた。 「口上」は、役者の素顔が見えて、役…

プロデューサーズ

トニー賞(米アカデミー賞の演劇版)12部門、史上最多受賞のブロウドウエイ・ミュージカルが完全映画化!! という広告にのせられて、映画「プロデユーサーズ」を観にいった。 これは面白かった。 映画は、舞台をそのまま映画に持ち込んでいて、監督もしかり…

ゴルフの映画

ゴルフの季節。 私は冬の間を除き、月2回ほどのゴルフを楽しんでいる。 今年は、まあまあの調子だが、ベストスコア89からワースト104と、あいも変わらず変動が大きく安定しない。 ゴルフを描いた映画は少ない。 邦画では、武田鉄矢主演の「織部金次郎…

「スクリーンの向こう側」&「第三の男」

映画字幕翻訳者である戸田奈津子さんが書いた本「スクリーンの向こう側」(WOWOW・共同通信社。06.4.12.刊)を読んだ。 彼女の青春時代には、映画を「生涯で、今日この一回だけ!」とおもい、「食い入るように全身全霊を画面に注いで見た」そうだ。 彼女が大…

映画が趣味でよかった

昨夜は、目黒のそば店で飲み会。 私が映画専門のブログを書いていると話したところ、同期入社の同僚が、私が映画大好き人間とは今まで知らなかったと言う。 私のまわりには、もう何年も映画館に行ったことが無いという人が多く、会社の飲み会ではめったに映…

偉大な脚本歴代第一位は「カサブランカ」

アメリカの映画・テレビの脚本家1万人でつくる脚本家組合が「偉大な脚本・歴代ベスト110」を7日発表した。 第一位には、映画「カサブランカ」(42年)の脚本を選出した。 これには驚いた。映画監督は脚本を最も重視し、脚本は監督やスタッフのために、彼…

ウェブ進化論

ベストセラー「ウェブ進化論」(梅田望夫著。ちくま新書。06.2.10.刊)を読んだ。 インターネットが登場して10年。私もブログを書き、それが全世界に即時発信されるなぞ、10年前には思いもよらなかった世界。 この世界にうとい私には、ネットの現状と展望が…

都築政昭著「黒澤明と七人の侍」

文庫化された都築政昭著「黒澤明と七人の侍」(朝日文庫。06.3.30.刊)を読んだ。 撮影日数148日、予算の五倍の費用を投じた大作「七人の侍」の誕生を追ったドキュメンタリー。 この本を読むと、日本ではこのような贅沢で過酷な映画造りは二度とできない!と…

世界で最もセクシーな女性 ヨハンソン

アメリカ男性誌FHMで、毎年恒例の「世界で最もセクシーな100人の女性」が発表され、ニューヨーク生まれの映画女優スカーレット・ヨハンソンがトップに選出された。 ヨハンソンは、映画「ロスト・イン・トランスレーション」(03年)、「理想の女」(04年…

近松物語 <世界のミゾグチ>

CS放送の日本映画専門チャンネルで、2月から「没後50年・監督溝口健二の世界」を特集していて、代表作のひとつである「近松物語」(54年)を観た。 この映画の予告編も同時に観たが、「3年連続ベニス国際映画祭で受賞した世界の名匠溝口健二監督が贈る問…