今週の土曜日から、渡辺謙主演の映画「明日の記憶」が東映系で公開される。
荻原浩の原作を読んだが、一人称形式で語られ、その語り口とラストの深い余韻がいい。この情感を映画化できるのだろうかと心配になる。
「明日の記憶」のイメージのまま、文庫本となった荻原浩の小説「噂」(新潮文庫。06.3.1刊)を読んだ。
もう、びっくり。ラストの一行まで展開が読めなかった。
歌野晶午の「葉桜の季節に君を想うということ」(03年)を読んで以来の驚愕のミステリーの傑作だ。
新製品の香水を売るために女子高校生に口コミで流した噂、それが現実のものとなり、連続殺人事件が発生する----という題材がまず興味をそそる。事件を追う刑事、企画会社の社員、女子高生たち等登場人物描写がいい。生きた会話の妙。一気に読ませる語り口。文句なし。
この文庫版の解説には「ミステリー史に残る傑作ーとの噂が、読者を通じて口コミで広がっていけば、これに勝る喜びはない。」とある。
まさにそう思うから、私にはブログで広める義務があるのだ。