映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

ニュー・ワールド<壮大な映像叙事詩>

神々しいまでの詩的で美しい映画に出会った。傑作の誕生である。

アメリカ映画「ニュー・ワールド」を見終わったあとも、いまだに幸せな気分にひたっている。
この映画の監督は、テレンス・マリック。

彼の名を一躍伝説化した「天国の日々」(78年)から20年の沈黙を守って発表した「シン・レッド・ライン」(98年)。それから、さらに7年たって「ニュー・ワールド」を発表した寡作の監督。
私が監督名で映画を観に行くひとりだ。

1607年、イギリスの船が、<ニュー・ワールド>アメリカに到着。先住民との争いがあり、船員が先住民の王女と恋に落ちるストーリーだが、ストーリーを追いかける映画ではない。

まるで人の呼吸のような自然な映像で語る映画叙事詩
緑の草原、水の音、鳥のさえずり、風の歌---。そして人々の営み。
音楽はモーツアルトのピアノ協奏曲第23番。

後半、先住民王女は、彼女にとっての<ニュー・ワールド>であるイギリスに渡る。造られた街や、あくまで人工的なイギリス庭園を歩く。
そして、われわれは「人類が見失ってきたもの」を発見する。
この映画は、観客ひとりひとりが自分の<ニュー・ワールド>未来を発見する旅なのだ。

この映画を後になってDVDで観ようと考えてはいけない。
映画館のワイドスクリーンで、かすかな風や澄んだ大気を体感して欲しい。この映画の繊細な音は、超一級の出来栄えだから。