映画字幕翻訳者である戸田奈津子さんが書いた本「スクリーンの向こう側」(WOWOW・共同通信社。06.4.12.刊)を読んだ。
彼女の青春時代には、映画を「生涯で、今日この一回だけ!」とおもい、「食い入るように全身全霊を画面に注いで見た」そうだ。
彼女が大好きな映画「第三の男」(49年)は、再映館まで映画館を追いかけ、追いかけて、50回は見たという。そのたびに料金を支払わなければならず、「好きな映画をいつでも、どこでも見られる現在の映画ファンには想像もできない体験」だったのだ。
ここでのキーワードは、「全身全霊を画面に注ぐ」と「料金を支払う」だ。
自分でお金を支払って映画館で見るからこそ「必死に、熱い想いで」映画に集中できるのだと思う。
「本は、ひとに借りずに自分の金で買え。自分で買った本は一生懸命読むから、必ず自分の糧になる。」と言った私の父の教えが、よみがえってきた。
実をいうと、この本は友人から借りて読んだ。お父さん、ごめんなさい。
「第三の男」再上映のとき、自分のお金で買ったパンフレット→