映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

都築政昭著「黒澤明と七人の侍」

文庫化された都築政昭著「黒澤明七人の侍」(朝日文庫。06.3.30.刊)を読んだ。

撮影日数148日、予算の五倍の費用を投じた大作「七人の侍」の誕生を追ったドキュメンタリー。


この本を読むと、日本ではこのような贅沢で過酷な映画造りは二度とできない!と思わせる。読み物として面白い。役者のせりふや、映画音楽がそのままによみがええってくるから不思議だ。

それにしてもこの「七人の侍」が封切られた1954年(昭和29年)は、木下恵介監督の「二十四の瞳」「女の園」、溝口健二山椒大夫」「近松物語」、市川崑「億万長者」など名作がずらり並ぶ。日本映画絶頂期である。

この年、小学生だった私は、東映チャンバラ映画、「ゴジラ」、日本初公開のシネマスコープ「聖衣」、シネラマなどを観て、映画のとりこになった年である。その頃はまだ溝口も木下も知らないし、観てもいなかったが。