映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

明日の記憶

荻原浩の原作を読んで映画化は難しいのではないかと思っていたが、その懸念は吹き飛んだ。

映画「明日の記憶」(堤幸彦監督)は、なかなかの出来で、感動作である。



若年性アルツハイマー病という重いテーマだけに、お涙頂戴の映画になりかねないが、優れた映画になったのは次の点だと思う。



第一は、この病気をじっくりと真正面から受け止めたことだ。決して美化せずに、病気の進行を冷静に追っていく。主人公の眼で、不安と恐怖を映像化している。自ら難病と闘ってきた渡辺謙の体験を生かして、映像化しているという。



第二に、妻を演じる樋口可南子が実にいい。主題は病気ではなく、夫婦のきずなだから、夫の病気を最初に受け止める妻の役は重要である。娘の結婚式で夫の挨拶を支える場面など、もうこの役はこの人しかいないというほどの適役。



エンドロールには、宮本文昭オーボエ演奏でテーマ曲が流れ、見終わって、すがすがしさも残る映画であった。



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