映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

2008-01-01から1年間の記事一覧

「白い馬」

”出会えてよかった。 人生にそう思えることがいくつあるだろう。”デジタル・リマスター版で半世紀ぶりに映画館で公開されたアルベール・ラモリス監督作品「赤い風船」と「白い馬」。冒頭の今回上映用キャッチコピーどおり、私にも、ほんとうに出会えてよかっ…

「赤い風船」

この映画「赤い風船」は、私の宝物。小学校6年の夏、日比谷有楽座のロードショーで、「沈黙の世界」との2本立で観た。たった36分のフランス短編映画であるが、映画が”詩”であることを初めて体感した。感動に震えた。劇場で52年ぶりの再会だ。今回上映…

けんてーごっこ

テレビはクイズ番組が人気。思わぬ新発見!というのが視聴者の興味をひくのだろう。インターネットでは「検定」と称したサイトが面白い。 ”けんてーごっこ”というサイトは、多くのジャンルで、多くの問題が並んでいる。映画部門を見てみると、「ポーニョ、ポ…

「歩いても 歩いても」

”人生は、いつもちょっとだけ間にあわない” 事故で亡くなった長男の命日に家族が集まる。法事ではじまる小津映画のような典型的なホームドラマの展開だが、ここでは娘の結婚話はでてこない。次男(阿部寛)も長女(YOU)も結婚して子供もいっしょに来る…

「ハムナプトラ3/ 呪われた皇帝の秘宝」

北京オリンピック一色の8月。映画のほうもあるぞとばかり、ミイラと戦う人気シリーズの第3弾のミーラは、なんと古代中国の兵馬俑と万里の長城建造で犠牲となった者たちだ。呪いが解けて動きだす兵馬俑の一糸乱れぬ隊列、呪いは木簡に書かれ、上海では花火…

”最高”「ダークナイト」

両親を殺された大金持ちブルース・ウエインが選んだ道は、恐れていたこうもりの仮面を自らかぶること。クリストファー・ノーラン監督・クリスチャン・ベイル主演の新たなバットマンシリーズの第1作「バットマン・ビギンズ」(05年)は、バットマン誕生秘話…

対決ー巨匠たちの日本美術

日本美術を代表する巨匠24人の傑作が集まった注目の展覧会を東京国立博物館で見てきた。若冲と蕭白の”奇想対決”永徳と等伯の”ライバル対決”大観と鉄斎の”富士山対決”などと、互いに競ったふたりの作品を並べて展示というのが、大きなみどころだ。日本美術…

「クライマーズ・ハイ」

日航機墜落事故当時、地元紙の社会部記者だった横山秀夫の小説が、あまりに面白く、とても映画ではあの緊張感を持続できはしないと思って、未見だった映画。だが、連日あまりの暑さに映画館へと緊急避難して観てきた。 映画は原作をほぼ忠実に映像化している…

「ヒトラーの贋札」

"完璧な贋札。 それは俺たちの命を救うのか。 それとも奪うのかー” 見逃していた作品を再上映館で観た。2006年ドイツ-オーストリア合作映画で、ナチスが行った国家による紙幣偽造事件「ベルンハルト作戦」を描く実話。偽造を強制されたユダヤ人技術者たちは…

「イースタン・プロミス」

見応えあるクライム・サスペンス映画で、文句なしの面白さ。イギリスでのロシアンマフィアの世界を黒を基調とした映像で迫る。 冒頭の緊急入院、出産そして殺人事件と死体処理と静かな緊張感にあふれ、ぐいぐい画面に引き込まれる。これがクライム・サスペン…

「崖の上のポニョ」

スタジオジブリ・ファンの期待を裏切った前作「ゲド戦記」(宮崎吾郎監督)から2年。 宮崎駿監督の新作は、いかにもジブリ作品らしく、美しい絵、アニメしか描けない映像、心温まる家族と冒険の物語で、宮崎ワールドをたっぷり堪能できる作品に仕上がった。…

「RURIKO」

”この小説に一番驚き、 一番感動したのは、 私かもしれません。 浅丘ルリ子”なんと現役女優・浅丘 ルリ子の私生活を、林真理子が小説化。 石原裕次郎に初恋、小林旭が恋人で、石坂浩二と結婚、離婚、幾多の恋人をもち、現在も20歳年下の俳優がいるという常…

作りたい映画だけを作る映像作家〜「裸の島」

<私の映画遍歴5 高校時代>私が高校1年のときに観た映画「チャップリンの独裁者」は、トーキーを最後まで拒んでいたチャップリンが初めて本格トーキーに挑戦して、最後の演説場面に生かしていた。 映画は当然”しゃべるもの”という常識に、セリフがない映…

「CHANGE」朝倉総理と床屋のチャーリー演説

いま木村拓哉主演のTVドラマ「CHANGE」を見終ったところ。今回で最終回、見どころは朝倉総理大臣が国民に向かって延々と、しかもノーカットで、テレビ演説をする場面だ。オリジナル脚本(福田靖)だそうだが、国民の一票による政治参加を求める演説シーン…

1960年 「チャップリンの独裁者」に驚愕

<私の映画遍歴4 高校時代> ”笑って 笑って 笑い転げて そして・・・最後に感動の拍手を” (日本初公開時の宣伝文句)チャールズ・チャップリンが製作・脚本・監督と主演を務め、ヒトラーを風刺したアメリカ映画「チャップリンの独裁者」。1960年(昭和35…

「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」

夏休み超ヒット作を予想していいたので、封切1週目を避けて、レディース・デイ割引の水曜日も避けて、平日に映画館へ行ったが、なんと、切符売り場には長い列。 よく見ると女子高生が多い?皆さん「花より男子・ファイナル」を見に来たのであった。今週の映…

松山ケンイチvs 蒼井優

この季節になると文庫フェアが始まる。 新潮文庫は、「新潮文庫の100冊」。 キャッチコピーは、おきまり ”Yonda?”集英社文庫は、 定番”ナツイチ”「夏の1冊」。 キャッチコピーは、 ”本を読もう。 世界が変わって見えるか ら。”角川文庫は、”発見。角川文…

「奇跡のシンフォニー」

” きっと会える。 この音の先に、愛が聞こえるから。 ” 養護施設で育った11歳の少年が、まだ見ぬ両親の絆を信じて、音楽で奇跡を呼ぶという、出来すぎたお話なのだが、けっこう引き込まれてしまい、感動させられた。 音楽を信じる映画だからこそ、教会での…

美の巨人たち・甲斐庄楠音

2000年4月に始まったテレビの長寿番組のひとつ「美の巨人たち」(テレビ東京 毎週土曜日夜10時)を毎回楽しみにしている。 一枚の美術作品にスポットを当て、その作品に秘められた人間ドラマや謎を解き明かす番組だ。昨日は、甲斐庄楠音(かいのしょう ただ…

六月大歌舞伎「新薄雪物語」

久しぶりに歌舞伎の話題。今月の歌舞伎座・昼の部は、「新薄雪物語」三幕四場。多彩な登場人物だけに顔揃いの大一座でないと上演できないといわれた義太夫狂言の名作。 今回は、見せ場「三人笑い」を演じる芝翫、幸四郎、吉右衛門と揃い、富十郎がからみ、福…

「ザ・マジックアワー」

「映画のセットのような」港町を舞台に、「映画だったらいいのに!」という窮状に陥った主人公が、三流役者を ”伝説の殺し屋”に仕立て、「まるで、映画みたいに」ドタバタを繰り広げるコメディー。 これまでの三谷幸喜監督作品では一番面白い。笑える。 しか…

「山のあなた 徳市の恋」

いまから70年も前に作られたという清水宏監督の作品「按摩と女」をリメイクした映画。 「鮫肌男と桃尻女」「茶の味」の石井克人監督が天衣無縫な人柄と詩情豊な作風をそのままカラーで復活させたいという一念で作ったという。オリジナル作品を私は観ていな…

「喜びも悲しみも幾歳月」に感動

<私の映画遍歴3 中学校時代>中学に入ってからも毎年100本以上の映画を、観ている。これまで父や兄に連れていってもらっていたのだが、ひとりでも映画館へ行くようにもなった。中学1年(昭和32年)のときに観て、こんな美しい映画があった、と感動したのが…

大友柳太朗や裕次郎がワイドスクリーンで大暴れ

<私の映画遍歴2 中学校時代>中学校に入学した昭和32年は、テレビ放送番組も充実した頃。アメリカのテレビ映画に熱中した。多くは30分物の一話完結連続ドラマで、冒険活劇からSF、ミステリーまで多彩なジャンルが魅力。 当時毎回観ていたのは、「スー…

1950年代 「鞍馬天狗」がなつかしい!

<私の映画遍歴1 小学校時代>私は終戦前年の昭和19年に東京・新宿で生まれ、小学校時代は荻窪に住んでいた。私が記憶している映画体験の始まりは、映画館ではない。小学校2年(昭和27年)の夏休みの夜に、学校の校庭で野外上映されたアラカン(嵐寛寿郎…

「フィクサー」

ニューヨーク最大の法律事務所でフィクサーと呼ばれる男(ジョージ・クルーニー)は、汚い仕事を請け負う”もみ消し人”だ。大企業の巨額訴訟をめぐり同僚弁護士が起こしたトラブル処理を描く犯罪サスペンス映画。「ボーン・スプレマシー」の脚本家トニー・ギ…

「アフタースクール」

”甘くみてると ダマされちゃいますよ” たいした宣伝もなく、主演も大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人の3人の地味そうな作品なので、映画館はガラガラと思いきや、広い館内も7分入りで、正直びっくり。この映画、私をはじめ観客は「監督名」で観にきたのではな…

「最高の人生の見つけ方」

”余命6ヶ月--- ふたりの輝かしい人生は、そこから始まった。” 人生のハウツウ物のような邦題だが、原題は「The Bucket List(棺おけリスト)」。棺おけに入る前にやっておきたいことを書き出したリスト。 大富豪エドワードは、 「スカイダイビングをする」…

「王妃の紋章」

コン・リー主演、チャン・イーモウ監督のコンビは、ふたりともがデビュー作「紅いコーリャン」(87年)、それに続く「菊豆」「紅夢」のいわゆる”嫁入り3部作”で、中国映画を世界に広めた功績が大きい。 私もこの3部作で、すっかり女優コン・リーのファンと…

「大いなる陰謀」

トム・クルーズ主演で、題名が「大いなる陰謀」とくれば、サスペンス娯楽映画だとの誤解を与えそうだが、これはれっきとした真面目な政治ドラマ。 アメリカ大統領選挙が近づくと、出てくる政治もの。来週公開のトム・ハンクスが下院議員を演ずる「チャーリー…