両親を殺された大金持ちブルース・ウエインが選んだ道は、
恐れていたこうもりの仮面を自らかぶること。
クリストファー・ノーラン監督・クリスチャン・ベイル主演の新たなバットマンシリーズ
の第1作「バットマン・ビギンズ」(05年)は、
バットマン誕生秘話を新鮮かつリアリティある映像で描いた秀作。
あれから3年。
続編を楽しみに待っていたが、その期待を裏切らない傑作の誕生だ。
原題は、”THE DARK KNIGHT " (NIGHTではない)。
「闇の騎士」すなわち「バットマン」。
今回は、”最凶”の悪役ジョーカーが大暴れする。
「バットマンがマスクを脱いで降参しなければ、市民を一人ずつ殺す」と脅迫する。
これ以上市民が殺されていくのを見ていられない”最強”バットマンは、
悪に屈するかどうか決断を悩む。
「光の騎士」と呼ばれ悪と闘う地方検事ハービーは、
二つの顔をもち”最狂”と化していく。
光と闇。善と悪。戦争と平和。
孤立したヒーローの苦悩を描く人間ドラマがしっかりしていて、
152分間の上映時間を飽きさせない。
力で正義を貫くことができない現代。
あたかも、ヒーローの苦悩が現代アメリカの苦悩を象徴するかのように。
映画は時代を映す鏡。
28歳の若さで急逝したジョーカー役のヒース・レジャーの怪演も見どころ。
来年のアカデミー助演男優賞は、堅いのではないか。