この映画「赤い風船」は、私の宝物。小学校6年の夏、日比谷有楽座のロードショーで、「沈黙の世界」との2本立で観た。
たった36分のフランス短編映画であるが、映画が”詩”であることを初めて体感した。感動に震えた。劇場で52年ぶりの再会だ。今回上映はデジタルリマスター版で、色彩が鮮やかに蘇っていた。美しい朝の空、ユトリロの絵のような街並み、そのファーストシーンで、もう胸がいっぱい!
赤い風船との出会い場面、パスカル少年が街灯を登っていくまで、風船は見せない にくい演出。
オールロケで、室内シーンは無く屋外シーンの街に赤い風船が溶け込む。
そしてラストの奇跡に、またも眼を奪われた。
こうして、私自身もまた少年時代に逆戻り。CGのない当時、どのようにして風船を撮ったのか不思議でならなかったが、今回再見しても、わからなかった。
それほど、よくできている。封切当時は普通であったスタンダード画面は、まるで正方形のようだ。
ビスタサイズやワイドテレビを見慣れている現代では、このサイズも新鮮だ。
計算尽くされた画面構成、カメラワークにスタンダードサイズがぴったりとはまっていた。
ユトリロの描くキャンバスサイズが心地良いように。