映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「歩いても 歩いても」

       ”人生は、いつもちょっとだけ間にあわない”

 

事故で亡くなった長男の命日に家族が集まる。
法事ではじまる小津映画のような典型的なホームドラマの展開だが、ここでは娘の結婚話はでてこない。


次男(阿部寛)も長女(YOU)も結婚して子供もいっしょに来る。
実家には頑固な父親(原田芳雄)とおしゃべりな母親
樹木希林)がいる。その実家での1日を描くだけ。


大きな事件も起こらず、家族の会話が中心という
ホームドラマなのであるが、この映画なんとも深い味わいだ。

 

とにかく母親を演じた樹木希林が、にくい演技。
後半に母親の確執をあらわにするところなど、練られたセリフとともに卓越した鋭い人間描写となっている。

 

監督は、カンヌ国際映画祭最優秀男優賞をとった「誰も知らない」是枝裕和

ドキュメンタリーの世界で培った視点で現代の家族を描き続けている監督。

 

映画を観ての帰り、すでに他界した私の両親のことを想っていた。
母の想いに反して、いつも違うことをやっていた・・
父と話していたことは実現していない・・

自分の家族がダブってみえる。
この映画の魔術はそこにあるのだろう。