映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「喜びも悲しみも幾歳月」に感動

<私の映画遍歴3 中学校時代>

中学に入ってからも毎年100本以上の映画を、観ている。
これまで父や兄に連れていってもらっていたのだが、
ひとりでも映画館へ行くようにもなった。

中学1年(昭和32年)のときに観て、こんな美しい映画があった、と感動したのが、
木下恵介監督の「喜びも悲しみも幾歳月」。

灯台守夫婦(高峰秀子佐田啓二が演じる)の物語。
日本全国の灯台を転勤しながら話は進むのだが、移動を示すのが日本地図、これで次の灯台の場所が示され、しかも主題歌がその季節を歌う。

  ”冬が来たぞと 海鳥啼けば
   北は雪国 吹雪の夜の
   沖に霧笛が 呼びかける ・・・”

いまでは脚本の定番”ロード・ムービー”なのだが、
この地図と音楽のみで次のエピソードに早代わりするという展開が心地よく、
1年かけて丹念に撮った美しい風景は、都会育ちの私には日本はかくも美しい国なのかと、かくも美しい夫婦愛があるのかと。
ラストも感動的。子供が国際結婚してアメリカに渡る船を見守る夫婦が霧笛で交信するところには、泣いた。

上の新聞広告(封切当時)を見ていただきたい。
 (タイトルが「喜」の略字を使っているぞ)
主演の高峰秀子よりも「原作・脚本・監督 木下恵介 作品」と監督の名前の方がはるかに大きく書いてある。

この頃から”監督は誰か”を強く意識しはじめた。

他の邦画では、中学1年のとき
今井正監督「純愛物語」
市川崑監督「ビルマの竪琴
と出会い、木下恵介を含めて3人の監督作品は以降すべて観るようになった。
                                              <続く>