いまから70年も前に作られたという清水宏監督の作品
「按摩と女」をリメイクした映画。
「鮫肌男と桃尻女」「茶の味」の石井克人監督が天衣無縫な人柄と詩情豊な作風をそのままカラーで復活させたいという一念で作ったという。
オリジナル作品を私は観ていないが、リメイクというよりは、完全カバーのようだ。
山間の温泉宿を舞台に、盲目の按摩の淡い恋を描く。
オリジナルさ作品を100回以上見て撮影に臨んだという
草磲剛がいい味をだして、CMなどで注目されているモデルのマイコも気品があり、古い時代のよき日本の情緒や雰囲気を出している。
この映画のテンポはゆったりとして、適度なユーモアもあり、古くて新しい特異な世界を作り出している。
あまりに古めかしい題名は、観客動員にはマイナスとも思えるが、映画を観た後は、なぜかピッタリとくるから不思議だ。
リメイクばやりの昨今、こんなリメイクなら歓迎だ。
"心の入浴料"と題し、全国の劇場での一律1000円興行を実現させたのも好感がもてた。