映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

2009-01-01から1年間の記事一覧

「サブウェイ123 激突」

パニック映画の全盛期は1970年台。「ポセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」「ジョーズ」などの作品群のなかにあって、ちょっと異色な作品があった。そう、地下鉄が暴走するパニック映画という宣伝で、題名もズバリ「サブウェイ・パニ…

「20世紀少年<最終章>ぼくらの旗」

前作の<第2章>は、「ともだち」が撃たれて死ぬが、葬儀の日に生き返り、 「死んだ者が生き返れば、神になる」と、<最終章>を大いに期待する展開で終わっていた。だが、残念ながら、この第3章にあたる<最終章>は、平凡な展開で、”「ともだち」とはいっ…

「3時10分、決断のとき」

”グラディエーター”ラッセル・クロウ”バットマン”クリスチャン・ベイルこの2大スター共演がみどころの正統で硬派な西部劇。正反対な生き方をするこのふたり、奇妙な友情が見え隠れするあたりの演技が見応え十分。物語も終盤での保安官たちの離脱による護送…

歌舞伎座さよなら公演「怪談乳房榎」

「八月納涼大歌舞伎」は、いつもの昼夜の二部制ではなく、三部制。第三部の開演時間は6時だから、会社帰りに観劇することができた。お目当ては中村勘三郎の「怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)」。”怖い怪談”というよりは、勘三郎の四役早変りを楽しむ…

「決断の3時10分」

「3時10分、決断のとき」を観に、新宿ピカデリーに行く。お盆休み期間中であったので上映開始30分前に切符売場へ行ったが、な、なんと!「満員」だという。次ぎの回まで3時間待つのもいやなので、やむなく帰宅の決断をして列車に乗った。 この映画、日本では…

「サマーウォーズ」

"「つながり」こそが、 ボクらの武器。” 前作の「時をかける少女」に感激したので、次回作が待ち遠しかった細田守監督の最新作アニメ。この「サマーウォーズ」は、前作を上回る傑作だ!今年これまで観た私が選ぶ映画ベスト1作品。 「夏休み」といえば、「ふ…

「ボルト」3D吹替版

「トイ・ストーリー」など数々のCGアニメの傑作を送り出してきたピクサー社のジョン・ラセターが、ディズニー社と合併(むしろディズニー社が降参して招聘したともいわれているが)して制作した3D作品。新生ディズニー・アニメの誕生に、喝采。 映画が始まる…

「1Q84」と「ミクロの決死圏」

”もう泣くのをやめなくては、 と彼女は自分に言い聞かせる。 私は今こうして天吾の中にいるのだ。 あの『ミクロの決死圏』の科学者みたいにー” <「1Q84」BOOK2 P.436>村上春樹の小説「1Q84」のキーワードのひとつが、映画「ミクロの決死圏」だ。こ…

「1Q84」と「華麗なる賭け」

村上春樹著「1Q84」読み始めたら、面白くてやめられない。 何日か夜更かしの日が続き、全2巻を読み終えた。主人公の女性である青豆は、”必殺仕事人”でもあり、映画なら篠原涼子かなというイメージで読み進めていたが、終盤になって、 「その頃のフェイ…

「湖のほとりで」

久しぶりに観たイタリア映画に、感動。冒頭の幼女誘拐事件のような導入場面から、静かなサスペンスタッチで一気に画面に引きずり込まれる。湖のほとりで、アンナという若い娘が全裸他殺体で発見される。その発端は”最も美しい死体”が売りだった「ツイン・ピ…

「ROOKIES−卒業−」

公開8週目でも興業ランキングがベストテン入りしているヒット作。コミックもテレビドラマも観ていない。予備知識もなく観たが、それなりに楽しめた。なんだ、この熱いストレートさは!相手チームのデータ分析もなく、ただ「夢にときめけ!」などと気合いを…

パソコンにトラブル発生

パソコンの電源を入れたら、「Windows Up-date 更新プログラムを構成しています。電源を切らないでください。」との画面が。そのうちに、「シャットダウンしています。」の画面表示があり、予告どおりシャットダウン。それから再起動して、また同じWindows U…

「トランスフォーマー/リベンジ」

連日の猛暑で、映画館に緊急避難。全米では超ヒット作であり、猛暑もぶっとばしてしまうことを期待して観た。前作を観ていないので、ストーリー展開や登場するトランスフォーマーの立場・役割などが最初よくわからなかったが、ストーリーは二の次。 世界で繰…

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」

1995年〜96年にテレビで放送された連続TVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」は、わが息子が大ファンで、毎回ビデオ録画していた。そのおかげ?で、放送当時社会現象化していた評判作ということで、私はこの番組全編を録画ビデオで鑑賞した。その哲学的、宗…

「劔岳 点の記」

”俳優とスタッフ、 2年間200日山にこもって、 一所懸命、創りました。 人それぞれ、「何か」を感じて 頂けると思います。 木村大作” 若いころの愛読書作家は、山崎豊子、山本周五郎そして新田次郎だった。「孤高の人」でファンとなり、次々と読んだ。映…

歌舞伎座さよなら公演 「女殺油地獄」

「女殺油地獄」(おんなころしあぶらのじごく)は、今年2月国立劇場の「文楽」で感激した演目であり、歌舞伎でも一度は観たかったが、今月の歌舞伎座さよなら公演で観ることがてきた。今回は、片岡仁左衛門が、”一世一代”で務めることになった。最後の公演…

「愛を読むひと」

平日の午前第1回目上映の「劔岳 点の記」を観にいったが、なんとシネコン映画館窓口には長い列。上映開始10分前になって「劔岳 点の記」専用売り場窓口ができたが、それでも多くのひとがそちらにも並ぶ。空席が少ないとの案内があり、もうひとつ観る予定…

「ハゲタカ」

2007年にTV放映したNHK土曜ドラマ「ハゲタカ」は、実におもしろかった。これまで経済ドラマというのは現実味が乏しいというのが相場だったが、これは違った。重量級のドラマだった。手持ちカメラの多用、暗青色の色調など映像も実に新鮮だった。ハゲタカの異…

「スター・トレック」

"「ロスト」「クローバーフィールド」のクリエイター最新作”と、J・J・エイブラムス監督を前面に打ち出したキャッチ・コピー。シリーズの最新映画化ではなく、新しい作品というイメージ戦略だ。 人気テレビ番組であり、映画のほうも10作ある、その長寿シリー…

「ターミネーター4」

「ターミネーター」と、いえば、”未来から送り込まれた殺人ロボットの活躍”というアイデアと、ロボットでありながら超個性的な”シュワルツネッガー”だ。 今回のシリーズ第4作「T4」には、その二つともに欠けている。人類の指導者ジョン・コナー(クリスチャ…

映画予告編の最高傑作といえば、

昨日は「用心棒」の予告編について書いたが、これまで数え切れないほど観てきた予告編のなかで 最高傑作1本を選べば、ヒッチコック監督の「サイコ」だ。予告編は、舞台となるモーテルの前にたたずむヒッチコック監督の俯瞰場面から始まる。「ここに一軒の静…

黒澤明監督「用心棒」の予告編

高校時代に観た黒澤明監督の「用心棒」”予告編”には興奮した。風が吹く宿場に三船敏郎が肩を上下しながら歩いてくる。ピストルを持った仲代達矢との距離が狭まる。”近づくんじゃない!”有名ななった最後のふたりの対決場面が・・白黒ワイド画面の緊迫感、ダ…

「天使と悪魔」

”「ダ・ヴィンチ・コード」の続編がついに映画化!”とキャッチ・コピーに書いてあるが、続編ではない。前作と関係なく、しかも原作を読んでいなくとも、それなりに楽しめる。 前作があまりに期待はずれだったので、観るのを躊躇していたのだが、今回は良いほ…

空気のきれいな映画館

新型インフルエンザの影響は映画館の興行成績にも及んでいるという。 私がよく行くシネコン映画館のワーナー・マイカル・シネマズは、 「空気のきれいな映画館 水の力で、空気を洗う! ”ウイルス・ウオツシャー機能”設置」だそうだ。なんと「ウイルスを99…

「チェイサー」

久しぶりに重量級の韓国映画を観た。脚本・監督は、これが第1作だというナ・ホンジン。注目の大型新人といえる。21人も犠牲となった実際の連続猟奇殺人事件をもとに殺人鬼と彼に捕らえられた女の生存を信じて追跡する元刑事の対決を描くホラー・サスペンス映…

天童荒太著「悼む人」

天童荒太の本を最初に読んだのは、「このミス」1位に選ばれたので読んだ「永遠の仔」。まさに、このミステリーがすごい!という展開も見事だったが、なにより人の心が丁寧に描かれていて最後まで一気に読ませてくれた。感動した本でもあり、数年後に再読した…

「映画館大賞」作品上映始まる

本屋さんたちが選ぶ「本屋大賞」に、あやかってか独立系映画館のスタッフが選ぶ”映画館で観るべき”「映画館大賞」が3月末に発表されたが、その映画上映が来週22日〜29日に渋谷・ユーロスペースで始まる。 初日上映は大賞ベストテン第1位の「ダークナイト」…

利休をたずねて

山本兼一著「利休にたずねよ」を読んでいて、 利休が設計した現存する最古の茶室「待庵」の“にじり口”のことが思い浮かぶ。待庵は、京都府大山崎町の禅寺「妙喜庵」にある。紅葉の京都を訪れたとき、モネの「睡蓮」と安藤忠雄設計の山荘として有名な「アサヒ…

山本兼一著 「利休にたずねよ」

最近読んだ本のなかで抜群の面白さ。 利休が切腹する日に始まり、彼を取巻く人物(秀吉、家康、三成、妻、長次郎、へうげもの織部、等々)が時間を遡って語る非凡な構成。「何故切腹しなければならないのか?」ではなくて、「これほどまで”茶の湯”の美にこだ…

「スラムドッグ$ミリオネア」

インドの映画といえば、学生時代に観た名作「大地のうた」、ハリウッド大作「ガンジー」が頭に浮かぶが、そんなインドのイメージも吹き飛ばす大迫力とテンポのノリ。ノリにのった展開は、一気にアカデミー賞8部門受賞快挙へと登りつめたさまと重なってみえ…