映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

天童荒太著「悼む人」

天童荒太の本を最初に読んだのは、
「このミス」1位に選ばれたので読んだ「永遠の仔」。
まさに、このミステリーがすごい!という展開も見事だったが、なにより人の心が丁寧に描かれていて最後まで一気に読ませてくれた。
感動した本でもあり、数年後に再読した。

次は、文庫版が発売されたときに読んだ「家族狩り」。
自分たちのまわりで起きている不可解な事件をだぶらせながら、じっくり考えさせられた本だった。

著者最新作の「悼む人」も、心の世界と真摯に向き合う。
事故現場を歩いて訪ね、見ず知らずの死者を悼む旅人がいる。

”こんな人、いるわけない”
”何故だ?”
”何か重大な理由があるはずだ”
と思いながら読み進むのだが、いつしか人の死という重くかけがえのないことを考えさせられてしまう。そこに”重大な理由”など、ないのだ。

何度か悼むポーズが描写されているが、その死と向かう真剣なポーズが”おくりびと本木雅弘を思いおこさせる。
映画化するのであれば、やはり ”いたみびと”本木雅弘主演か。