映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

映画予告編の最高傑作といえば、

昨日は「用心棒」の予告編について書いたが、これまで数え切れないほど観てきた予告編のなかで
最高傑作1本を選べば、ヒッチコック監督の「サイコ」だ。

予告編は、舞台となるモーテルの前にたたずむヒッチコック監督の俯瞰場面から始まる。
「ここに一軒の静かなモーテルがあります。」
と監督が観客に語りかけて、ここで事件があったことを説明し、併設の古屋敷へと案内する。
階段を登り、女と息子の部屋へと、案内しながら進む。
それからモーテルに戻り、オフィッス、モーテル1号室内、
そして・・・シャワールームへと。
「殺人者はここにそっと忍び寄り・・・」と語りかけ、監督が
シャワールームのカーテンをさっと引くと、ブロンド女性が悲鳴をあげ、例のキンキン音が耳をつんざく。
女性の顔一杯に”PSYCHO”のタイトル。



そして真っ暗になると、
「この映画は最初からご覧になってください。
それ以外のところから見るのはどうかご勘弁ください」との文字。
再び映画のタイトルが出て、予告編は終わる。

いかにもヒッチコック監督らしく、ユーモアを交えた語り口で、サスペンス・ミステリーの種明かしをするような態度をみせながら、巧みに観客をミスリードしていくのだ。
映画本編の最大の見せ場であるシャワールーム現場を観客に見せるが、この予告編に登場するブロンド女性は、本編で実際に殺される役のジャネット・リーではなく、犯人探しをする妹役のヴェラ・マイルズが演じていたのだ!

この予告編はyoutube動画サイトで観ることができる。
再生回数は35万回を超え、☆☆☆☆☆評価の有名予告編となっている。
英語版ですが、6分30秒たっぷりお楽しみください。