映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

利休をたずねて

山本兼一著「利休にたずねよ」を読んでいて、
利休が設計した現存する最古の茶室「待庵」の“にじり口”のことが思い浮かぶ。

待庵は、京都府大山崎町の禅寺「妙喜庵」にある。
紅葉の京都を訪れたとき、モネの「睡蓮」と安藤忠雄設計の山荘として有名な「アサヒビール大山崎山荘美術館」に行った。
見終わってJR山崎駅に出ると、駅前すぐそこに「妙喜庵」があった。
”「妙喜庵」といえば!→利休究極の二畳茶室”ということで、予定していなかったが、
さっそく行ってみると、さすが国宝だけに見学不可。
ここから10分位のところの「大山崎町歴史資料館」というところに待庵の原寸大のレプリカがあるというので、そちらに向かう。

待庵の“にじり口”(写真)を真近かにみると、なるほど小さい。

利休にたずねよ」の本では、この待庵が完成して、最初に利休の妻・宗恩を招く。
「これなら、問題なかろう。」と利休はにじり口の大きさを再確認する。
宗恩は言う。「なんだか、浜の小屋で、逢瀬でもするみたいですわね」。
そして「部屋も入り口も狭くて、窓に格子があって・・」
「牢屋みたい」と。
庵号は、秀吉がたいせつな時を待つ庵=「待庵」と決める。
宗恩は、つぶやく、「宗易(利休の旧名)様は、ほんとうは、悪い人でしょうね」と。
利休は、ただ風の音だけを聞いている。

利休の本質をついた記述に感心した。