”俳優とスタッフ、 若いころの愛読書作家は、山崎豊子、山本周五郎そして新田次郎だった。 その映画「八甲田山」が出世作となった名カメラマン木村大作の初監督作品。 明治40年、針の山と恐れられ前人未踏の剱岳に登頂する陸軍測量部を描いた実話。 エンドロールにはスタッフとキャストが共に肩書きなしで”仲間たち”として紹介される。 その日の夜は、ヴィヴァルディの「四季」をイ・ムジチの名盤CDで聴きながら寝むりについた。幸福を感じるとき。
2年間200日山にこもって、
一所懸命、創りました。
人それぞれ、「何か」を感じて
頂けると思います。
木村大作”
「孤高の人」でファンとなり、次々と読んだ。
映画化も多く、なかでも「八甲田山」は大ヒットして有名で、この感激を今一度という想いのオールドファン観客も多いのではないか。平日でも映画館は満員で、年配の男性客が多かった。
それだけに厳しい条件下の劔岳撮影がひとつの見所で、CGに頼らない本物の映像に圧倒され、それに神々しいバロック音楽がかぶり、映画の魅力がたっぷり。
その足跡を俳優たちが黙々と歩く。苦難の道のりが自然を超越して観るものに迫る。
そして、”原作者・新田次郎に捧げる”と。