映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

2007-01-01から1年間の記事一覧

赤江瀑の「平成」歌舞伎入門

”変容しつづける現代歌舞伎の正体をつかまえる!” (本の帯より) 「赤江瀑」というなつかしい名前と「平成歌舞伎」という題名を見て、おもわず本を買った。 新しく創刊した「学研新書」の第2弾である。 あの歌舞伎界の花だった六世・中村歌右衛門の舞台が…

長江哀歌

【画像:38742.jpg】 中国の映画監督といえば、 「さらば、わが愛・覇王別姫」のチェン・カイコー 「菊豆」「初恋のきた道」のチャン・イーモウ が、世界的に評価を受けているが、現在は、 ジャ・ジャンクーの評価が高い。 そのジャ・ジャンクー監督の最新作…

「天国と地獄」 TVリメイク

黒澤明の傑作映画「天国と地獄」のTVリメイク版が昨日放送された。 息詰まる緊張感が持続した映画版とは異なり、TVはCMで分断されてしまうが、面白かったのでついつい最後まで見てしまった。 映画版と最も違ったTV版での特色は、ガラスに反射する映…

「あやつられ文楽鑑賞」

”この本は、文楽観劇のド素人であった私が、いかにして このとんでもない芸能にはまっていったのかの記録である” (本の帯より) 昨年度「まほろ駅前多田便利軒」で直木賞を受賞した作家の三浦しをん(30)が文楽の魅力を分りやすく解説したエッセイー「あや…

森村泰昌「美の教室、静聴せよ」展

ゴッホの自画像やモナリザの名画や女優に扮したセルフポートレート作品で世界的に注目されている美術家・森村泰昌。 その展覧会が横浜美術館で開催されている。 フェルメール、セザンヌ、ゴッホといった西洋の名画に扮する作品と三島由紀夫の姿など約80点が…

天然コケッコー

【画像:38736.jpg】 日本の田舎は美しい。 私のような都会育ちの者には、豊かな自然、人々の優しさやぬくもりのある世界に、現代人が失ったものをしみじみ想い起こしてくれる。 また我々の年代には、単なる郷愁だけに留まらない青春時代の純な感情を呼び戻…

長谷川櫂著『「奥の細道」をよむ』

全国高校野球は明日が決勝戦。 広陵か、佐賀北か? 一方、全国の高校生が俳句の腕前を競う映画(「恋は五七五!」)にもなった「俳句甲子園」は、俳句の日8月19日が決勝戦だった。ということで、一冊の俳句の本が心に浮かんだ。 長谷川櫂著『「奥の細道」…

歌舞伎俳優と映画出演

【画像:38734.jpg】 歌舞伎界を背負う若手のひとり、尾上菊之助の映画初主演作「怪談」(中田秀夫監督)での演技が評判だ。 父は尾上菊五郎、母は女優の富司純子、姉は寺島しのぶという家系だけに、「邦画が元気だと言われる中、そういう世界に呼んでいただ…

魔笛

【画像:38733.jpg】 ”映画とオペラの 最高に贅沢で幸せな出遭い” モーツアルトの傑作オペラ「魔笛」は、恋愛、ファンタジー、子供の夢などが一杯つまっていて、いろいろ解釈ができる不思議な物語。 「ヘンリー五世 」(89年)「恋の骨折り損」(2000年)な…

レミーのおいしいレストラン

【画像:38732.jpg】 ”料理が苦手な見習いシェフと、 パリ一番のシェフになりたいネズミのレミー その出会いは おいしい 奇跡の始まり・・” アメリカのアニメ映画で最も信頼が高いピクサー・スタジオの最新作。 監督は、米で大ヒット作「Mr.インクレディ…

オーシャンズ13

【画像:38731.jpg】 毎日暑い! こんなときには涼しい映画館でビールを飲みながら肩の凝らない映画を観るのが一番、ということで「オーシャンズ13」(スティーヴン・ソダーバーグ監督)を観た。 おなじみダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)率い…

1962年 映画青春時代 <その2>

<私の映画遍歴7 高校時代>私の映画記録ノートをたぐってみれば、1962年のときに観た映画の本数は107本。日本映画は「椿三十郎」(黒沢明監督のお正月映画で元日に観ている)、「破戒」(市川崑監督)、「秋刀魚の味」(小津安二郎監督)など54本…

1962年 映画青春時代 <その1>

<私の映画遍歴6 高校時代>映画検定予想問題です。 Q1.1962年(昭和37年)キネマ旬報外国映画ベストテン第1位は、前年度に続いて2年連続ベスト1監督となったイングマル・ベルイマン監督の作品だった。その題名は何か?Q2.同じ1962年外…

「明智左馬助の恋」

”「本能寺」三部作完結! 真実は敗者の側にある。”「信長の棺」「秀吉の枷」に続く、加藤廣の小説 「明智左馬助の恋」(日本経済新聞社刊)は、「本能寺」三部作の完結編。 とはいっても、本能寺の抜け穴ミステリーや「本能寺の変の黒幕は誰か」といったこと…

キサラギ

【画像:38727.jpg】 ”アイドル・如月(キサラギ)ミキ。 彼女の自殺の真相は!? 男・5人、愛とドキドキの密室サスペンス!!” 「監督・ばんざい!」「大日本人」「舞妓 Haaaan!!!」と”笑える日本映画”が続いているが、これもすごく笑えるぞ! しかも、”謎…

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

【画像:38726.jpg】 今年のカンヌ国際映画祭は、松本人志の初監督作品登場、北野武監督のちょんまげ姿、河瀬直美監督の受賞(「殯の森」)と話題の多かった映画祭となったが、もう一本の上映作品がこの映画。 JALのテレビCM「カードで払いたい」(三谷…

「シニア割引」って証明いるの?

つれあいの故郷である名古屋の映画館に行ったとき。映画館窓口のひと(W)と、首都圏に住む私ヒッチ(H)との会話。H「シニア1枚。」 W「年齢を証明するもの、ありますか?」 H「え!持っていない!東京から来たが、東京では一度も証明するものが必要…

映画料金は、どんどん安くなっている

【画像:38724.jpg】 横浜市営地下鉄の車内広告を見ていたら”TOHOシネマズららぽーと横浜「夏得」キャンペーン”とあり、 平日午前中上映開始の映画は1,300円 マイレージ会員は、毎日1,300円 もちろん、シニア割引(60歳以上)・ファーストデイ(毎月1日…

ダイ・ハード4.0

【画像:38723.jpg】 ”1988年 超高層ビル占拠 1990年 空港パニック 1995年 マンハッタン爆破 2007年 全米機能停止 あの男、再起動。” 大ヒットアクション「ダイ・ハード」が12年ぶりに帰ってきた。 9・11事件以来テロを描いた作品は躊躇されてきた。 今回…

東映太秦映画村に行ってきました

京都にある東映太秦映画村。 入口から中に入ると、眼の前には昔あった映画館が再現されている。 上を見ると「笛吹童子」と「日輪」の看板。 窓口の横にはスチール写真、切符売り場の上には上映時間が掲示。 もうこれだけで小学生のころにタイムスリップ。 残…

犯人に告ぐ

【画像:38721.jpg】 WOWOWが劇場用映画製作に乗り出した。 その第1弾が「犯人に告ぐ」(滝本智行監督)。 秋に劇場公開されるが、完成直後に一夜限りということでWOWOWで先行上映された。 先日のNHKハイビジョン放送では、劇場公開前の 「殯…

監督・ばんざい!

【画像:38720.jpg】 北野武監督の第13作は、映画監督キタノ・タケシが主人公の喜劇。 お得意のバイオレンスを封印したキタノ監督は、他のジャンルに挑戦しては失敗の連続、次なる企画を求めてさまよい歩くうちに、地球に危機が迫るという破天荒なストーリ…

日本の映画料金はなぜ高いのか?

日本の映画料金(1,800円)は高いといわれている。アメリカ、フランス、お隣の韓国いずれも日本円で600円〜700円程度といわれており、日本では世界の相場の2〜3倍の料金を払わされている。 日本は土地が狭いので映画館の地代が高い、維持費がかかるなどの…

「秒速5センチメートル」

新海誠という熱狂的なファンをもつアニメーターがいる。ゲーム会社に勤務しながら個人で自主制作したフルデジタルアニメ「ほしのこえ」(02年)はアニメファンを驚愕させ、DVDが10万枚も売れたという。 こちらは25分という短編であるが、光と影、色彩…

ザ・シューター/極大射程

【画像:38718.jpg】 スティーブン・ハンターの小説「極大射程」は、 文庫本上下2巻を一気に読ませる傑作で、ともかく面白かった。 寡黙で知的なヒーローが巨大組織の罠にはめられていく過程のサスペンス、銃器等の小道具、裁判でのミステリーといい2000年…

ヒッチコックのこれ1本「裏窓」

前回書いた「世界の映画監督250人」のなかで、アルフレッド・ヒッチコック監督の解説は、 ”独自の作劇を開発したサスペンス映画の神様。” ”「レベッカ」「救命艇」「白い恐怖」「裏窓」「サイコ」とアカデミー監督賞候補5回だが、無冠。” ”ヒロインとし…

世界の映画監督250人

月刊誌「PLAYBOY」7月号は、総力特集 「映画監督ほど素敵な商売はない」 というタイトルに魅せられて購入。 メル・ギブソンなど「なぜ俳優は監督を目指すのか?」という記事も興味深く読んだ。 圧巻は別冊付録「世界の映画監督250人」だ。 そのコ…

殯(もがり)の森

【画像:38715.jpg】 第60回カンヌ国際映画祭で日本の河瀬直美監督の日仏合作映画「殯(もがり)の森」が、最高賞パルムドールに次ぐ、審査員特別賞(グランプリ)に選ばれた。 というニュースが昨日のこと。 その映画が、今日NHKのBSハイビジョンで…

パッチギ!LOVE&PEACE

【画像:38714.jpg】 前作の「パッチギ!」(05年)は、在日を描き、テーマ曲の「イムジン河」がかつての放送禁止時代を想い起こさせ、若者のエネルギーを爆発させた青春映画の傑作だった (キネマ旬報ベストテン第1位)。 この頃から日本映画作家達が独特…

音が聞こえる絵画

日経新聞の朝刊を、私はいま第1面からではなく最終ページの文化欄から読み始めている。 今日の新藤兼人「私の履歴書」は、自ら監督した映画「夜明け前」の興行失敗で無一文になったところで終わっていた。 無一文になってからのこの監督の執念が明日からの…