映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

長谷川櫂著『「奥の細道」をよむ』

全国高校野球は明日が決勝戦
広陵か、佐賀北か?

一方、全国の高校生が俳句の腕前を競う映画(「恋は五七五!」)にもなった「俳句甲子園」は、俳句の日8月19日が決勝戦だった。

ということで、一冊の俳句の本が心に浮かんだ。
長谷川櫂著『「奥の細道」をよむ』(07.6.10.刊 ちくま新書

この本、芭蕉の最も有名な句の解釈からはじまる。

 ”古池や蛙飛びこむ水のおと”

これまで学校で教わってきた「古池に蛙が飛び込んで水の音がした」という解釈は違うと。
実は「蛙が水に飛び込む音を聞いて、古池の幻が心の中に広がった」という解釈である。
現実の音を聞いて、心の世界を開いたからこそ蕉風開眼の一句となったという。

同様に古池型の句の代表作は、

 ”閑さや岩にしみ入る蝉の声”

蝉の声を聞いて(現実)、心の中に静寂な世界が開けた という解釈。

 ”夏草や兵どもが夢の跡”

夏草を見て(現実)、義経と藤原三代をしのぶ(心の世界)。

 ”田一枚植えて立ち去る柳かな”

西行ゆかりの柳を見て(現実)、西行になった自分が田植えをする姿の幻をみた。

芭蕉の「奥の細道」を追って著者の説得力ある解釈を読みながら、新たな発見がたくさんある力作だ。
俳句の読み方が変わること請け合い。