全国高校野球は明日が決勝戦。
広陵か、佐賀北か?
一方、全国の高校生が俳句の腕前を競う映画(「恋は五七五!」)にもなった「俳句甲子園」は、俳句の日8月19日が決勝戦だった。
ということで、一冊の俳句の本が心に浮かんだ。
長谷川櫂著『「奥の細道」をよむ』(07.6.10.刊 ちくま新書)
この本、芭蕉の最も有名な句の解釈からはじまる。
”古池や蛙飛びこむ水のおと”
これまで学校で教わってきた「古池に蛙が飛び込んで水の音がした」という解釈は違うと。
実は「蛙が水に飛び込む音を聞いて、古池の幻が心の中に広がった」という解釈である。
現実の音を聞いて、心の世界を開いたからこそ蕉風開眼の一句となったという。
同様に古池型の句の代表作は、
”閑さや岩にしみ入る蝉の声”
蝉の声を聞いて(現実)、心の中に静寂な世界が開けた という解釈。
”夏草や兵どもが夢の跡”
夏草を見て(現実)、義経と藤原三代をしのぶ(心の世界)。
”田一枚植えて立ち去る柳かな”
西行ゆかりの柳を見て(現実)、西行になった自分が田植えをする姿の幻をみた。
芭蕉の「奥の細道」を追って著者の説得力ある解釈を読みながら、新たな発見がたくさんある力作だ。
俳句の読み方が変わること請け合い。