日経新聞の朝刊を、私はいま第1面からではなく最終ページの文化欄から読み始めている。
今日の新藤兼人「私の履歴書」は、自ら監督した映画「夜明け前」の興行失敗で無一文になったところで終わっていた。
無一文になってからのこの監督の執念が明日からの話となろう。
「第五福竜丸」そして「裸の島」へと、本領が語られるのは、これからである。
これからの楽しみはつきない。
そして、もうひとつの記事「音が聞こえる絵画」も毎回楽しみにしている。
音が聞こえる絵画。
それは私には日本画家の福田平八郎が眼に浮かぶ。
写真右の作品「雨」は、瓦の構成が見事に決まっているが、雨音が聞こえませんか?
写真左の作品「水」は、クレーを想起させる表現だが、水音が聞こえ、その画面に吸い寄せられて、めまいがした経験がある。
私にはそれほどショックを得た絵画である。
このふたつの記事と堺屋太一の小説が掲載されている文化欄から読まずには、一日は始まらない毎日なのである。