”この本は、文楽観劇のド素人であった私が、いかにして このとんでもない芸能にはまっていったのかの記録である” (本の帯より)
昨年度「まほろ駅前多田便利軒」で直木賞を受賞した作家の三浦しをん(30)が文楽の魅力を分りやすく解説したエッセイー「あやつられ文楽鑑賞(07.5.30刊。ポプラ社)を読んだ。
文楽の周辺ドキュメントも面白いが、ストーリー解説がが実にすごい。新?解釈やら、疑問、ツッコミ、と若い感覚で的確に文楽の本質に迫っている。
特に著者が大好きという「仮名手本忠臣蔵」には50ページを割いてたっぷり解説。これが圧巻。
由良助がラストで立ちつくす場面
”「忠臣」になりきれなかったもの、「忠臣」のために犠牲になったものたちのことを描いているから、すべてはむなしい。”と締めくくる。
文楽を観ている人も、観たことがない人も、必読の入門書である。
"ううむ、知れば知るほど奥深い世界だ。"