映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「秒速5センチメートル」

新海誠という熱狂的なファンをもつアニメーターがいる。

ゲーム会社に勤務しながら個人で自主制作したフルデジタルアニメほしのこえ」(02年)はアニメファンを驚愕させ、DVDが10万枚も売れたという。
こちらは25分という短編であるが、光と影、色彩とカット割りに独自の世界を築いていた。

その新海誠監督が、数人のスタッフと1年半自宅にこもって作り上げた新作が「秒速5センチメートル」。
ここには商業主義の介入しない、手造りの良さ、丁寧で、とてつもなく美しい作画がある。
63分間まったく手抜きがない仕上がり。

タイトルの「秒速5センチメートル」とは、桜の花びらが散り落ちる速度。
初恋の少女とのふたりの距離、時間、年齢を重ねた男の想いがテーマ。

初恋の少女との再会の日を描く叙情、逢いに行くまでの時間の長さ、そして最後のタイトルバックでは、過去の魂の彷徨を再現して、すこぶる感動的に終わる。