映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「散歩する侵略者」

謎の侵略者に体を乗っ取られた夫(松田龍平)と翻弄される妻(長澤まさみ)、他の侵略者と同行取材することとなったジャーナリスト(長谷川博己)の3人を視点に異様な日常を描く。

前川知大による劇団イキウメの人気舞台を「クリーピー 偽りの隣人」の黒沢清監督が映画化。
私は劇団も劇作家も知らないのだが、原作が舞台劇だけあって生身の人間が主役。
映画化されても大規模なCGや異形な宇宙人が登場することない。
そう、あくまで人間のお話。

家族以外は他人。他人と共存する日常の生活。
そうわかってはいるのだが、この映画で改めて「他人」を意識させられ、侵略者が奪う「愛」という概念の重大さに気づかされる。
侵略者・宇宙人の題材を借りて、日常に潜む他人への恐怖や孤独を鋭く描く黒沢清監督らしい作品となっている。