映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「ラ・ラ・ランド」

日常生活と違う世界へと誘うためには”冒頭”が鍵。
川端康成は、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」と表現。

ミュージカル映画も、日常が歌いだすので、非日常的世界へと誘う”冒頭”が重要である。
有名な「ウェスト・サイド物語」冒頭場面。
クレジットタイトルもなく、音楽もなく、NYの市街の俯瞰撮影ではじまり、ウェスト・サイドにズームすると、指が”パチツ”と初めて音が出て、強烈なダンスに・・
サウンド・オブ・ミュージック」では、
アルプスの大自然をダイナミックにへり撮影が草原の大地に近づけば、ジュリー・アンドリュースが主題歌を歌い踊る。

この2作がミュージカル映画史上最高の冒頭場面だと思っているが、さらにもう一つ加わることになった。
それが、「ラ・ラ・ランド」。
ロスの大渋滞した高速道路上で繰り出す歌と踊り。
この長いシーンを実際の高速道路上で”一発の生撮り”でやらかしたというのだから驚き。
まさに一回勝負の舞台感覚で、観客のドキドキ感は最高潮。
カメラワーク、色彩感覚抜群で、一気にミュージカル映画の世界に!

この”一発の生撮り”でのワンカットは、初めて2人きりで踊る公園シーンでも発揮。
踊りばかりか背景もすばらしい。どうしたらこんな夜景が撮れるのか。

エマ・ストーンは文句なし。
ライアン・ゴズリングの歌も渋く、ピアノ演奏もすごい。
あとは、夢のような展開にメロメロでした。

全体的に「雨に唄えば」と「シェルブールの雨傘」のテイスト感。
それは、観てのお楽しみ。
公開初日(金曜日昼間)に観に行ったが、空席も多かった。
必見です!