映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「聖杯たちの騎士」

現役の映画監督のなかで一番好きな監督は、テレンス・マリック

どれほど好きかと問われれば、ブログを書き始めて12年。
毎年恒例の「私が選んだベスト映画10本」で、ベストテン第1位に選んだ作品のうちテレンス・マリック監督作が2本もある。
2011年ベストテン第1位が、「ツリー・オブ・ライフ」 
http://d.hatena.ne.jp/uramado59/20110812/p1 
2006年ベストテン第1位が、「ニュー・ワールド
http://d.hatena.ne.jp/uramado59/20060429/1146309862

そう、この2作で書いたように、
”神々しいまでの詩的で美しい映像美”を観ている”自分自身が映像に溶け込んでゆきながら、深い感銘を受ける”という映画なのだ。
常に変わらぬスタイルが大きな魅力。

こうした監督の「感性」に観客の誰もが溶け込むとも思えないし、感動的なストーリーこそ映画の命と思っている映画ファンには物足りないだろう。
従って監督作を強引に勧めたくないのだが、この監督の「感性」が私は好きだ!

監督の最新作「聖杯たちの騎士」も変わらぬ作風。
男と女、父と子、兄と弟が断片的にシーンを繋ぐが、ストーリー展開に一切説明はない。
監督自身の自伝的スケッチなのだろうか。
主人公の潜めた肉声が続き、夢のような静かに動くカメラワーク。
これまでの監督作より、説明やセリフがさらに少なく、まるで現代アート映像作品のようだ。
何の制約もなく監督が100%自由にイメージを創ることができた個人映画とさえいえようか。

出演者は豪華。
クリスチャン・ベールケイト・ブランシェットナタリー・ポートマン・・
有名俳優たちが監督作に出演を願っているらしい。

過去の自分から呪縛をを解いて「始めよう」のひとことで映画は終わる。
監督は同時並行でもう1本製作中という。
さて、何を「始めよう」とするのか、興味深々である。