「海は燃えている〜イタリア最南端の小さな島〜」
アフリカ大陸に最も近いイタリア最南端の小さな島が舞台。
そこに住む少年が、手製のパチンコ遊具を作るために適した木の枝を探すところから映画は始まる。
カメラは静かに、島民の暮らしぶり、美しい空や海、豊かな自然を切り取る。
だが、命がけで難民たちがこの島に漂着し、島は一変する。
救助、健康診断、難民施設への収容・・
少年は、友だちとパチンコで遊んでいる。
交わらない日常。
「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」でヴェネチア映画祭金獅子賞を受賞したジャンフランコ・ロージ監督の眼は、この映画でも冷静だ。
ナレーションはなく、三脚で構えた安定した構図、同時並行のカットバック場面など、これがドキュメンタリー映画なのかと思えるような映像。
少年は、片目がよく見えていなかったことを医師から診断される。
この医師は難民の健康診断をした人。
日常と非日常はここで交わる。
片目を直していく少年は、日常と非日常をしっかり見ることができるのだろうか。
世界で起きている現実を深く考えさせられた。
「ローマ環状線〜」を超えるドキュメンタリー映画だ。