映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

新作の映画

「ブレードランナー 2049」

”やがて人類は絶滅しー レプリカントが世界を支配する。 だが、多くは創れない。”1982年、「ブレードランナー」が公開されリアルタイムで観た時、私には物語を理解できなかった。ただただ、酸性雨が降りしきるロサンゼルスの退廃的風景その世界観に圧倒…

「アウトレイジ 最終章」

好きな大物俳優を集め、好きな映画を自らも楽しんで作ることができる監督・北野武。シリーズお約束の、「コノヤロー」「バカヤロー」の連発、工夫をこらしたお仕置き方法、裏切りと抗争バイオレンスは、今回も健在。シリーズ通して、やくざ世界をお笑い化さ…

「ダンケルク」

第2次世界大戦初期、フランス北部のダンケルク。 英仏の連合軍がドイツ軍に追い詰められた史上最大の救出作戦。 その真っただ中に観客は放り込まれる。 約40万人もの兵士救出劇は、陸・海・空3つの舞台と3つの時間軸で描かれ、息つく暇もない。”体感するシネ…

「散歩する侵略者」

謎の侵略者に体を乗っ取られた夫(松田龍平)と翻弄される妻(長澤まさみ)、他の侵略者と同行取材することとなったジャーナリスト(長谷川博己)の3人を視点に異様な日常を描く。前川知大による劇団イキウメの人気舞台を「クリーピー 偽りの隣人」の黒沢清…

「スパイダーマン:ホームカミング」

面白い。良くできた青春映画でもある。マーベルの人気ヒーローが活躍する新シリーズの本作は、ピーター・パーカー(トム・ホランド)が15歳の高校生。アイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr)の指導でヒーローへと成長していく姿と、友情・恋愛・部活動な…

「セールスマン」

トランプ政権の入国禁止大統領令に抗議して、監督と主演女優が今年のアカデミー賞授賞式をボイコットしたことで話題となり、見事にアカデミー賞外国語映画賞を獲得した作品。 しかも二度目の受賞というイランのアスガー・ファルハディ監督最新作だということ…

「ハクソー・リッジ」

「ブレイブハート」のメル・ギブソン10年ぶりの監督作で、本年度アカデミー賞で作品賞など6部門にノミネートされた。"ハクソー・リッジ"とは、"のこぎり崖"。 そこは、第2次世界大戦で壮絶な戦いが繰り広げられ、多くの死者を出した沖縄の前田高地を指す。 …

「ラオス 竜の奇跡」

日本ラオス国交60周年記念して作られた初の合作映画。 ラオスという国は、アジアの中でも知られていない国、最も遠く感じる国だ。 国交60周年というのだが、どんな交流があったのかも知らなかった。 1960年にラオスでダム建設調査に来ていた日本人技師の…

「22年目の告白−私が殺人犯です−」

私は未見の韓国映画「殺人の告白」(2012年)のリメイクという。 本格サスペンスミステリーとして面白く観た。 がぜん韓国版も観たくなった。22年前の残忍な連続殺人事件の殺人犯が、時効を迎え、マスコミに自分が犯人と名乗り出て告白本を出版するというプ…

「家族はつらいよ2」

山田洋次監督作「家族はつらいよ」の続編。 前作の家族メンバーが全員集合するので、また平田家の家族に会えてなにかホッとする。 「男はつらいよ」と同じ気分なのが、魅力。今回は、高齢者の運転免許返上問題と独居老人の死という騒動で、にぎやかに家族会…

「美女と野獣」

ディズニー・アニメの傑作を「シカゴ」「ドリームガールズ」のビル・コンドン監督が完全実写映画化。 アニメ版が作られたのが1991年というのだから、えっ!26年も前のことと、びっくり。 自分の中では今も生き続けているのだが。 アニメ版も何回か観て、サン…

「海は燃えている〜イタリア最南端の小さな島〜」

アフリカ大陸に最も近いイタリア最南端の小さな島が舞台。 そこに住む少年が、手製のパチンコ遊具を作るために適した木の枝を探すところから映画は始まる。 カメラは静かに、島民の暮らしぶり、美しい空や海、豊かな自然を切り取る。 だが、命がけで難民たち…

「モアナと伝説の海」日本語版

「字幕版」で観たかったのだが、字幕版は夜の1回だけ上映だったので、昼間に「日本語版」で鑑賞。あらかじめ日本語版キャストを調べたら、主役モアナ役は、屋比久知奈(やびく ともな)という人。 知らない名前だった。 沖縄出身で現在大学に通う女子大生の…

「この世界の片隅に」再び

すずさんに会いたくなって、観てきた。キネマ旬報、映画芸術、毎日映画コンクール、日本アカデミー賞・・ 多くの賞を取りながら超ロングラン興行中。 クラウドファンディング資金応募は、3,374人、3900万円集まったという。 皆が望んだ企画、それに応えたス…

「ラ・ラ・ランド」

日常生活と違う世界へと誘うためには”冒頭”が鍵。 川端康成は、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」と表現。ミュージカル映画も、日常が歌いだすので、非日常的世界へと誘う”冒頭”が重要である。 有名な「ウェスト・サイド物語」冒頭場面。 クレ…

「サバイバルファミリー」

「ウォーターボーイズ」「ハッピーフライト」の矢口史靖監督最新作。電気消滅! 交通機関や電話、ガス、水道まで完全にストップしたら、どうなるか。 自分なら、やはり”そのうち戻るでしょう”と軽く考えてしまうのではないか。父親(小日向文世)は、自分の…

「マグニフィセント・セブン」

久々の正統派西部劇を楽しんだ。黒澤明監督作「七人の侍」と西部劇でリメイク「荒野の七人」。この傑作2本を再リメイク。 タイトル原題は、リメイク版と同じ。 「トレーニング・ディ」のアントワン・フークア監督。ガンマン7人は人種もさまざま、村人の女…

「聖杯たちの騎士」

現役の映画監督のなかで一番好きな監督は、テレンス・マリック。どれほど好きかと問われれば、ブログを書き始めて12年。 毎年恒例の「私が選んだベスト映画10本」で、ベストテン第1位に選んだ作品のうちテレンス・マリック監督作が2本もある。 2011年ベ…

「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」

伝説の音痴ソプラノ歌手の実話を、メリル・ストリープ&ヒュー・グラント共演で描く。音痴なのにカーネギーホールでのリサイタルを可能にしたのは、彼女の音楽に対する情熱、フローレンスの莫大な財産があっただけではない。 夫シンクレアの献身的な支えがあ…

「この世界の片隅に」

こうの史代(ふみよ)のコミック代表作「夕凪の街 桜の国」に感動した。。 原爆投下後の広島という物語の背景は悲惨であっても、日常生活の描写のなかで、たくましく幸せに生きてきた人々を淡々とした語り口で描ききっていた。こうの史代原作のコミック「こ…

「インフェルノ」

ダン・ブラウンのミステリー小説を映画化した「ダ・ヴィンチ・コード」「天使と悪魔」に続く“ロバート・ラングドン“シリーズの第3弾。 主演をトム・ハンクス、監督をロン・ハワードが続投。 前2作とも、小説も映画も面白かった。今作は小説は未読。名画と謎…

「永い言い訳」

妻を失っても涙を流せない流行作家が、他者との交流で知る”違う自分”。「蛇イチゴ」「ゆれる」「ディア・ドクター」など真偽とか善悪とかの狭間で生きる人間を深い洞察力で見つめる女性監督・西川美和の最新作。 監督作全作オリジナル脚本であるが、この自作…

「ハドソン川の奇跡」

2009年マンハッタン上空で制御不能となった飛行機をハドソン川に不時着させ、乗客全員の命を救った航空機事故。 日本でも大きく報道されたので誰もが知っているのだが、前代未聞の決断行為だっただけに機長が糾弾されたということを、この映画を観るまで知ら…

「君の名は。」

アニメ界の”印象派”新海誠監督の約3年ぶり最新長編アニメ。 若いふたりの”すれ違い”恋愛もの。だからタイトル名は偉大なる古典「君の名は」から。監督独自の”光の映像世界”を100%味わうためには、画面真正面から画面全体をくまなく補足できる位置ということ…

「ジャングル・ブック」2D吹替版

主人公の少年以外はすべてデジタルで描かれ、その壮大な映像がネット仲間で評判が良いので観に行く。 3D・2D・IMAX3D・4Dという4方式上映なのだが、近所にあるシネコンでは、3D上映が朝8時台の1回だけ。あとはすべて2D(しかも吹替版)だけ。 毎朝ワンち…

「シン・ゴジラ」

満員の映画館で観た「ゴジラ」第1作。 小学生の私は映画の世界に完璧に魅了されてしまった。 あれから、もう60年以上も経過したというのだが、その日本映画のスーパースター「ゴジラ」が新しく蘇ってきた。東京湾に突然出現した「巨大不明生物」。 「想定外…

「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」

ハリウッドの歴史に大きな汚点を残した赤狩り(レッドパージ)。 赤狩りが、どのように仕組まれ、映画人がどのような苦難を強いられ、いかに戦ったかを正面から描いた映画はロバート・デ・ニーロ主演の「真実の瞬間」が名を残す。1947年、アメリカ国会下院非…

「クリーピー 偽りの隣人」

タイトルの“クリーピー(creepy)”とは「ゾッとするような」という意味だそうだ。そして副題に”偽りの隣人”とあるので、これだけで”怪しい隣人が怖いというサスペンス・スリラー映画”だとわかる。 この副題がなければ、ちょっと変わった隣人が、だんだんと正…

「FAKE」

舛添都知事の追及報道にあきれた。お祭り騒ぎ。 マスコミは正義感ぶって、ここぞとばかり辞任するまで一斉たたきまくる。同じような騒動が過去にもあった。 この映画「FAKE」は、ゴーストライター騒動で、話題になった作曲家・佐村河内守にスポットを当てた…

「海よりもまだ深く」

台風でひさびさに一夜を一緒に過ごすことになった家族。 団地で気ままな独り暮らしをしている母(樹木希林)。 15年前に文学賞を一度獲った売れない作家の長男(阿部寛)。 そんなダメ男に愛想を尽かして離婚した元嫁(真木よう子)。 長男のダメ男ぶりをみ…